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『夜明けの図書館』第4巻 埜納タオ 【日刊マンガガイド】

2016/06/05


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『夜明けの図書館』


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『夜明けの図書館』第4巻
埜納タオ 双葉社 ¥620+税
(2016年5月17日発売)


図書館司書の業務のなかでも、利用者の知りたいことを受けて、調べものの手伝いをする「レファレンス」をテーマしたマンガの新刊。
暁月市立図書館で働く主人公・葵ひなこも、まだまだ新米司書とはいうもののだいぶ堂に入った仕事ぶりだ。見知らぬ土地だった暁月市にもなじみつつある。

一般に、ノルマやお金のトラブルと無縁、本を置いているだけの司書業務って楽そう、とつい思いがちではないだろうか。
しかし、図書館を休館して短い期限内に行う特別整理は体力勝負だし、民間委託の波と戦うために評価を上げる作戦も練らなくてはいけない。
そのために専門性を上げるべし、とひなこはプレッシャーをかけられ、同僚のかわいらしい嘱託職員・小桜さんの悩みなど、どんなお仕事にも苦労はつきもの、と考えさせられる。

それでも、やりがいも大きい。
レファレンスは謎解きのおもしろさがあり、今巻でも「外国人が日本語のタイトルを教えてくれた本」「亡夫が吊るしていた飾り」「二度だけ見た絵」など、本だけでない探し物や、まるで雲をつかむような依頼もある。
そのなかから、対話による記憶のあぶり出しや、生身の人間の知識も含めて答えに近づく過程は快感だ。利用者も司書自身も本を通して新たな出会いや気づきを得られ、明日へ力強く踏み出せる。

また、ディスレクシア(トム・クルーズなども告白している、読み書きなどに困難を伴う、学習障がいの一種とされる)の例も取りあげている。
本を読む楽しみは、万人に開かれているはずが、そうでないケースもあることが示される。その障壁を少しでも低くするには? 「だれにでも使える図書館」は設備だけでなく、本を愛する者の熱意も必要なのだ。

ネット検索はすばやくて手軽だが、ときには図書館に行ってレファレンスをお願いしてはいかがだろうか。作中の「レファレンス協同データベース」は実在する。地域はもちろん、それも飛び越えてみんなで「育てる」のも、図書館のおもしろみなのである。



<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。

単行本情報

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