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【日刊マンガガイド】『夜明けの図書館』第3巻 埜納タオ

2014/08/29


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『夜明けの図書館』第3巻
埜納タオ 双葉社 \620+税
(2014年8月16日発売)


あまりなじみはないが、図書館は単に本を貸し出すだけでなく、利用者の調べ物や探し物を職員が手助けしてくれるレファレンスサービスも重要な業務のひとつだそうだ。
このレファレンスサービスに注目したのが、埜納タオの『夜明けの図書館』。

本というのは不思議なもので、読むときはひとりなのに、なぜかその本の存在が人と人を結びつけてくれる。本から生まれた縁というのは、世の中に数えきれないほどあるのだろう。

最新3巻でも、いろいろな人々がこの暁月市立図書館を訪れる。
祖父が遺したオウムを相続放棄しようとする無職の若者、子宮頸がんの再発に悩む主婦、定年退職後に自治会長になった元仕事人間……。彼らの心の重荷は、図書館によって軽くなり、また前へと進んでいく。
迎える図書館職員も、主人公の新米司書・葵ひなこを筆頭に、芳しくない利用状況に悩み、一段と太る中堅女性司書・石森さん、すぐ仕事をサボるが憎めない轟館長……と、3巻になって職員それぞれの個性も発揮され始め、「お仕事もの」としてもいっそう味が出てきた。

最後は本作の名台詞で締めたい。
「“知りたい”って思いは明日自分がどうなりたいかに繋がってるからな。その手助けをするのが図書館の仕事なんだ」

<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でライトノベル評(ファンタジー)を連載中。
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単行本情報

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