華物語
埜納タオ(画) 槙佑子(案) 講談社
むかしから日本では「芸事は6歳の6月6日から始めると上達が早い」といわれている。それにちなみ6月6日は「いけばなの日」とされている。
どうも「華道」とか「いけばな」と書くと堅苦しい印象を受けるが、会社や学校の帰りに通う「ならいごと」といいかえれば、取っつきやすいかもしれない。
埜納タオ/槙佑子『華物語』は、主人公・沙和が、失恋を契機にいけばな教室に通いはじめる物語。ならいごとを始めたころの華やいだ気持ちが、ビビッドによみがえってきて清々しい。
ふと人生を振り返ったときに、あれがたしかに節目だったと気がつく瞬間がある。その折節に花があると、私たちの生活はどれほど和やかに彩られるだろうか。
「28歳・独身・OL」の等身大の人間模様が、いけばなを通じた5編の短編によって紡がれていく。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。