【書店に聞く!!】これぞ本の街・神保町を代表する大型書店のバラエティだ！　書泉グランデ

FRINGE-MAN あの書店に聞く!!からかい上手の高木さんばっどまん働かないふたり冬島暮善悪の屑姉弟ほど近く遠いものはない小木初見山本宗一郎干物妹！うまるちゃん渡邊ダイスケ青木Ｕ平

2014/08/21

本の街・神保町にそびえる書店、書泉グランデ。7月12日にリニューアルオープンしたばかりで、2階へ上がる階段やフロアなど店内の至るところに、漫画家さんから贈られたイラストペーパーが飾られている。
姉妹店である書泉ブックマートのコミックフロアが、女子向けにリニューアルされることもあり、こちらのメインターゲットは男性！　大型書店でありながらマニアックな作品も網羅している書泉グランデならではの、バラエティに富んだ、男心くすぐるマンガを店次長の長谷見賢一さんに伺った。

フロアのいたるところに展示されている複製原画。期間限定なのでお見逃しなく！

書泉グランデオススメの4冊!!

『からかい上手の高木さん』山本宗一郎

『からかい上手の高木さん』第1巻
山本宗一郎　小学館　\552+税
（2014年6月12日発売）

発売と同時に爆発的な人気の本作。教室やプール、学校の帰り道で、かわいい女の子の高木さんが、クラスメイトの西片くんをひたすらからかっているお話です。「もしかしたら、高木さんは僕のことを好きなのかもしれない」なんて思い込ませて、男子の純情をもてあそぶ高木さんが、本当にニクい＆かわいすぎる！　男が読んで、きゅんきゅんするようなシチュエーションが詰まっています。

表紙に描かれているのは、「2人でひとつの傘使ってる、この状況なんて言うんだっけ？」と、西片くんに”相合い傘”という思春期にとって恥ずかしい単語を言わせようとする、いじわるなシーン。女子と相合い傘で下校するというだけでも、男子には悶絶級の出来事なのに、わざわざ口に出して言わせるなんて……高木さん、勘弁してください！

あのころの女の子って、男の子よりちょっと大人なんですよね。高木さんのいじわるぶりを見ていると、昔こんな女子いたなあと思う方も多いのでは？　じつは私自身も、小学生のころはよく女子にからかわれていまして……（そのときの女子の名前は今でも覚えていますよ）。そんなことも思い出して、懐かしい気持ちになりました。西片くんにいじわるをしたい高木さんと、高木さんに一矢報いたい西片くんの、見ていて恥ずかしくなるような攻防に今後も期待です。
私は自宅で読んでいたのですが、自然とにやにやしていたようで、妻に「キモい！」と指摘されてしまいました。このマンガ、電車で読まないことをおすすめします！

『姉弟ほど近く遠いものはない』小木初見(作) 冬島暮(画)

『姉弟ほど近く遠いものはない』第2巻
小木初見（作）、冬島暮（画）小学館クリエイティブ　\600+税
（2014年6月5日発売）

単行本化を待ち望んでいたファンが多く、1巻発売とともに、すぐに重版がかかったという、大人気コミック。容姿端麗・成績優秀、生徒会長も務める姉が、ひたすら弟に過剰な愛を捧げる日常が描かれています。

本作に登場する姉は、弟の靴下の匂いを嗅ぎたがるという、ちょっとマッドな性格！　弟が好きすぎて勝手な妄想に苦しんだり、弟に近づく女を排除しようする、極端な姉の行動がギャグチックで笑えます。
こんなクレイジーな姉なので、当然弟は避けまくり！　ですが、ときどき姉を思いやる弟の優しさが垣間見えるシーンもあり、ただのギャグではない暖かみもあります。

最近では、『干物妹！うまるちゃん』や『働かないふたり』などの、兄妹もののマンガも人気。こちらは本作とは逆に、だらしない妹を兄があやすといったストーリーのほんわかギャグマンガが多いです。マンガを読んで、自分を必要としている姉妹に癒されてみてはいかがでしょうか。

『FRINGE-MAN』青木Ｕ平

『FRINGE-MAN』第4巻
青木Ｕ平講談社　\562+税
（2014年7月4日発売）

巻数を重なるごとにじわじわと人気が出てきている本作。まるでヒーローものっぽいタイトルですが、漢字に変換してみると……そう、「不倫自慢」。
3人の男たちが不倫のプロ（通称プロッフェッサー）に愛人の作り方を学ぶお話です。しかしこの3人、なかなかプロフェッサーのようにうまくいきません。たとえ不倫に失敗してながらも、人生において必要な何かを学んでいく姿がおもしろいです。最新刊では、愛人を作りたいという新メンバーも登場し、料理教室を舞台に、新たな不倫を展開していきます。

本作には、思わず納得してしまうタメになる名言が満載。たとえば、『「おはようございます、〇〇さん」と、挨拶のあとに名前をつける人は、愛人の原石だ！』というようなプロフェッサーのお言葉は、「そ、そうだったのかー！」と唸らざるをえません。わざわざ名前を呼ぶということは自分に好意がある、というわけです。挨拶の前ではなく、あとというポイントが、なんだかそれっぽいですよね。こういったネタがほかにも豊富に紹介されています。
当店の女性スタッフに、作中の数々のテクニックを説明したところ「鵜呑みにしないでくださいね」と言われてしまいましたが……私は、プロフェッサーの言葉を信じますよ！　

一見タイトルを見てもどんなマンガかわからない気の利いた（？）つくりになっていますので、奥さんがいる方でも安心してご購入できます（※私は念のためカバーをつけています）。ぜひご一読ください。

『善悪の屑』渡邊ダイスケ

『善悪の屑』第1巻
渡邊ダイスケ少年画報社　\552+税
（2014年７月14日発売）

「ヤングキング」の連載作のなかでも、強烈なインパクトを放っている本作。発売当初から大人気です。「復讐屋」を名乗る主人公が、殺人、いじめ、レイプといった、凶悪な犯罪に巻き込まれた被害者や遺族の無念を晴らすため、かわりに復讐をしていくというストーリー。
その復讐というのが、とにかくえげつない。依頼主が許しても、復讐屋が許さないとばかりに常軌を逸した様々なグロい処刑を行います。犯罪行為を行った者に対する制裁は、はたして正義なのか悪なのか……。語るに難しい内容です。

そんな血も涙もない主人公ですが、復讐屋を始めたきっかけは、どうやら主人公の家族が関係あるようです。ときおり、フラッシュバックでよみがえる娘との会話をするパパの表情は、現在の主人公の顔からは想像できないほど優しいもの。いったい何が彼を変えてしまったのか!?　今後も目が離せません。

「残酷を知るから、残酷を止められる」ということもあります。バイオレンス内容ではありますが、かえって道徳的なことを考えさせられる一冊です。
少し本作とは違った作風ですが、こういった表と裏を描く作品で、おすすめしたいのが『ばっどまん』。昭和の映画ポスターのようなイカした表紙が目印の、本格劇画マンガです。こちらはギャグが多めなので、とても読みやすいかと思います。