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7月28日は「菜っ葉の日」 『ドラゴンボール』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/07/28


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

7月28日は菜っ葉の日。本日読むべきマンガは……。


DragonBallKanzen_s14

『ドラゴンボール 完全版』 第14巻
鳥山明 集英社 ¥933+税


きょう7月28日は、7(ナ)・2(ツー)・8(ハ)という語呂から「菜っ葉の日」とされている。

「菜っ葉」。
特定種類の野菜ではなく、はっぱの部分を食べられる野菜をざっくりまとめた総称だ。
代表的なのが小松菜、ほうれん草、白菜あたり。広くとればキャベツやレタスなど結球型の葉もの野菜も含まれる。

ちょうど今くらいの夏バテしやすい時期、ビタミンやカロチンを豊富に含む菜っ葉は積極的にとりたいところ。
旬の食べものをあらわす言葉のひとつで「夏は葉のもの」といわれるほどである。

さて、その「菜っ葉」にちなんだネーミングを持つマンガのキャラクターといえば?
そう、ご存じ『ドラゴンボール』のナッパだ。

主人公・孫悟空のルーツである戦闘民族サイヤ人が敵として立ちはだかる一連のエピソードで語るに欠かせない男・ナッパ。
オリジナル単行本で第17巻、『完全版』で第14巻に初登場して以降、本人がバトルして退場するまでの話数は必ずしも多くないのだが、強烈な印象を読者に刻みつけた。

まずは地球におりたつや、有名な「クン」という擬音とともに指2本を突き上げる動きで都市部を大爆破させ、宇宙の地上げ屋という壮大な設定をうかがわせるヤクザな挙動。
いかにもパワータイプな筋骨隆々の巨体で、クリリンやピッコロたち地球戦士をボコボコにする強者ぶり。
それでいて調子にのっては、格上のベジータに一喝されて恐縮する力関係。
そして最後は、あの世で修行した孫悟空の成長を演出するダシとなって爆散するみごとな死に様……。

あらためて読むと、何かの教科書に載せたいほどみごとな中ボス的役回りだ。

さらに、地球から退散したベジータがフリーザ軍の基地に戻った際、他の下級戦闘員たちがナッパの姿を探しつつ「ナッパさん」と呼んでいる場面に注目してほしい。
仲間内で一目置かれるが「様」づけされるほどでもないという、彼の絶妙なポジションがたったひとコマで完全に表現されている。
さすが鳥山先生。

たとえば『聖闘士星矢』の黄金・白銀・青銅のランク分けなどが顕著だが、優れたバトル系少年マンガは、あるキャラが他と比べてどのレベルですごいのか、格差を伝える配置がうまく機能しているものだ。
前座のラディッツ・本命のベジータの間をつなぐナッパがいたからこそ、『ドラゴンボール』の大きな転換期であるサイヤ人襲来編はその展開を成功できたといっても過言ではない。

ヒトの健康維持に有用な菜っ葉と同じくらい、ナッパさんは作品にとってお役立ちな存在だったのだ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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