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【日刊マンガガイド】『夫婦サファリ』第1巻 ジョージ朝倉

2014/08/02


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『夫婦サファリ』第1巻
ジョージ朝倉 祥伝社 \900+税
(2014年7月8日発売)


バツイチで、結婚などする気のない漫画家・ジョー。
だがある日、彼は突然、編集者の日歌を、妻として家に迎え入れることに。それというのも、じつは元・漫画家の日歌が過去に執筆した作品を、ジョーがパクっていたことがバレたため。
同棲7年のヒモ彼氏と別れて、結婚して子供を産みたいという日歌に脅されたジョーは……。

ジョージ朝倉の最新作『夫婦サファリ』の設定は、とても一筋縄でいかないだが、そもそも「夫婦」そのものからして、この世のなかでも「一筋縄ではいかないもの」のひとつ。

本作は、一風変わったラブストーリーでも、業界の内幕を描く漫画家マンガでもない。タイトルとおり、夫婦とは「サファリ=野生動物たちの喰うか喰われるかの生態さながら」だとする、結婚生活をめぐるドラマだ。
オスとメスがつがいになって、近寄ったり離れたり、助け合ったり傷つけあったり。ジョーは実際問題、新婚旅行で訪れたアフリカのサファリツアーで、それを痛感させられる。

もともと結婚というものにも、女性というものにも疑心暗鬼なジョー。そのうえ日歌が自分の妻となったのは、ただ結婚がしたかったからで、その結びつきには愛がない。
それでも一緒にいることで愛情はわいてくる。彼女に気を許してしまう自分、夫婦関係の心地よさを求めてしまう自分に対して葛藤し、苦悩するジョーが、いとおしくもおかしい。

あくまでコメディながら、本作は、結婚とはなんなのか、夫婦とはなんなのかを、ダイナミックに正面から描いている。
頭でっかちになりがちな男と、理屈を軽々と飛び越えていく女。男と女とは、えてしてそんなものだが、ジョーと日歌もまさにそう。
子どもの問題、新居の問題と、結婚にまつわるあれやこれやにうろたえるジョー。そんな彼を前に、日歌は動物のメスさながらに、その度量と魅力、そして愛情で、結果としてジョーをも引っ張っていく。

そのなかで、漫画家と編集者という設定が、2人のキャラクターとしての立ち位置、さらにいえば、それこそ世の男と女の力関係の描写にもなっている。
編集者は作家を立てる存在だが、作家は編集者がいないとひとりではできないことも多い。それでもやっぱり、編集者にとって作家は絶対の存在なのだ。

女性誌連載の本作、じつは男性にこそ読んでほしい、男性にこそ訴えるものがある作品だろう。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Summer」が発売中。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。

単行本情報

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