『神社のススメ』
田中ユキ 講談社 500+税
7月21日は神前結婚記念日となっている。
1900(明治33)年のこの日、神宮奉斎会本院(現在の東京大神宮)が神前結婚を大々的にPRし始めたことに由来する。これに先立つ同年5月10日、皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の婚儀が宮中賢所大前で行われた。
それまで庶民の結婚式は家で行うのが常であったが、皇太子の婚儀に憧れ、神前式がブームになったという。
神社や巫女をテーマにしたマンガは数多く、昨今では落合さより『ぎんぎつね』がアニメ化されたことも記憶に新しい。
田中ユキ『神社のススメ』も、神社を舞台とした作品だ。本作は、神職の階級や日頃の業務内容といった「職業解説」とももに、神社の経営面を大きくクローズアップしているのも特徴。祈祷料の相場とか、“売上”ノルマとか、後継ぎ問題などなど。いわば「神社ビジネスの裏側」的な題材が取りあげられるので、かなり興味深い。そして1巻では、神前式の模様も描かれる。
ジューン・ブライドの季節はすぎたけれど、神式で式を挙げようと計画している人は、本作で予習しておくといいかも。
物語が進むにつれて、主人公・里見信二郎と高校生巫女の恋愛模様も描かれていくので、巫女さん好きも必見!?
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。