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【日刊マンガガイド】『はなうた散歩道』 朝倉世界一

2014/08/23


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『はなうた散歩道』
朝倉世界一 KADOKAWA/エンターブレイン \740+税
(2014年7月25日発売)


本作は、「月刊コミックビーム」で、新米公務員の毎日を情感豊かに描いた『春山町サーバンツ』を連載中の朝倉世界一の作品集。4コママンガからエッセイルポマンガまで、作者のポップでほんわかしたテイストを存分に楽しめる、おもちゃ箱のような作品集になっている。

かわいらしくて、ファンタジックでメルヘンチック。たしかにそんな世界観なのだけれど、「とってもメロンミントちゃん」の主人公はメロンそのものなうえ、仕事はスナックの雇われママ。「ゴロリ~♪丸太ちゃん」に至っては、主人公は女子短大生なのになぜか“丸太”で、自分の体型がお悩みで……と、絵柄や設定や空気感は愛らしくても、どこかチクッと刺す何かがあるところが、朝倉世界一の作品だ。エスプリや批評性ともまた違う、心の柔らかいところを刺激してくれるもの。

そんなテイストがよく出ているのが、絵本風の8Pのカラーマンガ「カレーライス」だ。
「ある日 パパがピンクのひよこを買ってきた パパはりこんしたばかりだったので ひとりっ子のわたしを心配したのかもしれない」
「わたし」がひとりで作ったカレーを一緒に食べたりしながら、成長していく「わたし」とひよこ。やがて人間さながらの「大きなおんどり」になったひよこは、ごく当たり前のように話すようにもなって、ごく当たり前のように家族の一員になっていくのだが……。
その先の展開とラストは、それこそごく当たり前のかわいいを狙ったマンガにも、毒や不条理を狙ったマンガにもないもの。奇妙という意味でも笑えるという意味でもおかしい一作にして、泣きたくなる名作でもある。
おかしいのにどこかいじましくて、おもしろいのにどこかいとおしい。かわいいの先にある、寂しさやせつなさまで味わわせてくれる朝倉世界一。その魅力を堪能したい人は、ぜひ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Summer」が発売中。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。

単行本情報

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