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【日刊マンガガイド】『ミトコンペレストロイカ』第2巻 まん○画太郎

2014/08/21


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『ミトコンペレストロイカ』第2巻
まん○画太郎 新潮社 \560+税
(2014年8月9日発売)


もうみんな知っていると思う。ババアを描かせたら天下一品の画太郎先生は、かわいい女の子を描かせても天下一だということを。

人間世界に攻めてきたエイリアンを撃退して、はや40年。
家出をした姫・マゴコンドリア。彼女は怪盗パパンの奔放な生き方にずっと憧れていた。ある日、その娘・パパン二世と出会い、お目付け役の少女・お汁さん二世と3人で旅に出る。キュートなガールズ冒険譚だ。
姫にはとんでもないヒミツがあったり、パパン二世が豪快なアクションをこなしたり、出会った人物がじつは戦うべき相手だったりと、見せ場は満載。

いつもの画太郎マンガに馴れ親しんだ読者なら、おどろかずにはいられないほど、とにかく美少女キャラ度合いが半端じゃなく高い。
かつ芯のあるファンタジーアドベンチャーの構成で描かれているため、画太郎マンガ初心者にはオススメしやすい。

だが、みんな知っていると思う。画太郎先生がそんな甘っちょろいことですますわけがないのを。
定番の階段オチ(階段を滑り落ちてトラックに引かれて死亡!)はもちろん、パパン二世が持つのび棒と7個集める龍の玉、ジブリ映画で見かけたようなタバコをふかした2人のじいさん、といったあけっぴろげなパロディも健在。
いつもどうりババアやジジイがすごい勢いで、糞便を吹き散らすのもしっかり描かれている。ハードコアだ。安心だ。

普段、画太郎作品のなかでババアたちが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するのは、人間のなかに眠る激しい欲望を具現化しているからだ。
だから美少女が多い今作は、どちらかと言うとそれらの欲望を何重にもオブラートに包んでいる印象がある。
ほかの画太郎マンガと比べて、ヒロイン・マゴコンドリアはかわいいし、本作は明らかに読みやすい。しかし根底にある人間の攻撃的すぎる欲望のマグマは、ふとした瞬間に吹き出してくる。油断は禁物。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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