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2月15日は「涅槃会(ねはんえ)」 『寺ガール』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/02/15


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

2月15日は涅槃会。本日読むべきマンガは……。


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『寺ガール』 第1巻
水沢めぐみ 集英社 ¥400+税


2月15日は釈迦が入滅した日(本来は陰暦)であり、その報恩感謝の法要があちこちの寺で開かれる。
それが「涅槃会(ねはんえ)」だ。

涅槃(ニルバーナ)は、肉体を捨て去った迷いのない世界として知られているが、この場合は釈迦が亡くなったことそのものを意味する。
法要のかたちは寺によって様々だが、涅槃図という釈迦入滅を描いた絵を掲げ、釈迦最後の経といわれる「仏遺教経」を読誦(どくじゅ、お経を唱えること)するところも多い。

涅槃会は4月8日の灌仏会(かんぶつえ)、12月8日の成道会(じょうどうえ)と並ぶ、重要な仏教行事のひとつなのだ。

そう、寺には様々な仏教行事がある。また日課もたくさんあるうえに、毎日のように檀家の人々が訪れてプライバシーも少ない。
通常の家と比べれば、寺に生まれて育つことは特殊な環境下にあるということもできるだろう。

今日ご紹介する『寺ガール』は、そんなお寺のひとつ、福福寺に育つ3人の娘たちの物語だ。
長女の悟留(さとる)は医学部在籍、三女の拝美(おがみ)はおしゃれに余念がないイマドキの女子高生。
そして次女の光里(ひかり)は、お寺も仏教も大好きで毎日熱心におつとめを行う前向きな女の子。
彼女たちはそれぞれに恋をするが、どうしてもお寺の娘ということが大きな問題となっていて――。

跡取り息子のいない寺の娘3人の恋を、しっかりした取材と丁寧かつ優しい筆致で、まっこうから描いている本作。
実家である寺に様々な想いを抱きつつも、各人が自分の恋愛とまっすぐに向きあっていく姿には好感が持て、しみじみとした読後感をもたらしてくれる。

さらには著者による取材裏話に加えて4コマやアンケート、また第2巻には「寺ずきんチャチャ」なる『赤ずきんチャチャ』とのコラボマンガもあって、本編以外にもすみずみまで楽しめる工夫がうれしい。

お寺大好きな侍女の光里は、お経を聞くのが大好き。すがすがしい気持ちになるからだという。
お近くの寺で涅槃会の法要をやっているようなら、立ち寄ってみるのもいいのではないか。
読経の響きとお香の香り。心清められる時間を持つのも、悪くはないだろう。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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