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【インタビュー】高野ひと深『私の少年』アラサーOLと男子小学生の近すぎる“触れあい”……! 読者大興奮の“水着回”で「真修の●●」に悩む

2017/07/17


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、高野ひと深先生!

2016年、彗星のごとくあらわれ、『このマンガがすごい!2017』でオトコ編第2位にランクインし、たいへん注目を集めた『私の少年』。

センセーショナルなタイトルはもちろん、「月刊アクション」連載開始から「まんが史上最も美しい第一話だ」と絶賛されるほど話題となった繊細な絵のタッチ、胸に迫る人物の心理描写……。そしてなんといっても少年・真修の息を飲むほどの美しさ!! どれをとってもマンガファンのハートをがっつりつかんで、ますます注目を集めています。

今回、『このマンガがすごい!2017』ランクインと最新第3巻の発売を記念して、著者の高野ひと深先生へ直撃インタビューを行いました! 知られざる制作秘話や、高野先生と担当編集さんがギリギリまで議論しあった、真修の●●を描くか問題など、ここでしか聞けない話をたくさん聞けちゃいましたよ!

著者:高野ひと深

2015年デビュー。既刊に『私の少年』(双葉社)、『「す」のつく言葉で言ってくれ』(リブレ出版)など。
『私の少年』は現在、「月刊アクション」にて連載中。最新第3巻が7月12日に発売。
現在、いぬ(かわいい)と暮らしている。


構想段階では「カメラマンの男性と少女」の物語だった!

――『このマンガがすごい!2017』オトコ編第2位獲得おめでとうございます!

高野 本当に、夢のような出来事でいまだに動揺しております。企画を走らせ始めた段階では「いったいどの層に向けて発信すれば届くのだろう?」という暗中模索感に包まれていたのですが、読者の方がそんな暗闇から真修を見つけてくださって、ありがたい場所に『私の少年』を連れてきてくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。これからも今までどおり、お話づくりに頭を悩ませつつ、真修の光量を落とさないよう精一杯やっていこうと思います。

――この物語はどのような切り口から誕生したのでしょうか。

高野 担当さんとお話ししていて「年の差もので、かつ、その2人が歳を重ねた場合の関係性はどうなるのか……っておもしろそうじゃないですか?」と盛りあがって、ですね。

――もともとは「カメラマンの男性と少女」のお話を考えられていたそうですが、当初の設定から男女逆転させることにしたのは?

高野 ネームに詰まってしまって見直しをした時に、今すでにあるお話の雰囲気や関係性はそのまま同じラインで、別のものに置き換えられないかと考えたんです。その時、ふと「少女と年上男性の話はよく見るけども、逆はそんなにない気がするなあ、なんでだろう?」と疑問に思って。それを担当さんにも投げかけて提案をしてみました。

――主人公を「お姉さん×少年」にして描きやすくなったのはどんな点でしょうか。

高野 間違いなくモノローグです! 私、たぶん憑依タイプでマンガを描いている人間なので、前のキャラ設定のままだと小学生女子のモノローグをひねり出すにはメンタルを小学生女子にしなくちゃいけなくて……。それが本当にたいへんで。もうどうにもならんと、自分が小学生だった時の日記を実家から大量に持ち帰ったりしたんですが、全然集中力が続かない……。自分の日記を読み返すのもまあ苦痛で(笑)。そんな状態だったから、聡子さんを主人公にしたことで抜群に交信しやすくなったなあと思います。

聡子と真修、ある夜の公園で出会った2人は、サッカーを通じて仲よくなるが……。

聡子と真修、ある夜の公園で出会った2人は、サッカーを通じて仲よくなるが……。

――「憑依タイプ」というのはわかります! どのキャラクターにしても、その「キャラの視点」がすごく伝わってくると思っていたので。

高野 これはマンガを描くうえというより、読んできた積み重ねからの影響かもしれませんが、ひとりでいると脳内モノローグというものがやたらと発生するんですよね(笑)。


「30歳OLと12歳の男子」インパクト大の年齢設定のわけは!?

――30歳と12歳という年齢の設定が絶妙に感じます。親子に見えるかもしれないギリギリのような……。一方で現代の30歳は「おばさん」ではなく充分「お姉さん」でとおりますし。

高野 そうなんです。最初は聡子の年齢を28とか29とかにしようともしたんですが、「28歳と12歳」よりも、やっぱり「30歳と12歳」のほうが、ぱっと見の字面だけで抵抗感を感じてもらえるんじゃないかと。「こんなに離れてるのに!?」って一瞬で思ってくれるかなあと思ってそうしました。並んだ時に、より「ん?」って思う数字を取ったかなと思います。聡子の年齢についてもう少しスポットライトが当たるとしたらこれからの展開次第なのかな……。

――真修って子どもらしいかと思うと不意に紳士的だったり男気のあるところを見せますよね。そんなところに12歳の男の子のリアルさを感じて、読んでいてドキドキしちゃいます。

初めて見るお掃除ロボット「ルンバ」に感動する真修。素直に「すごいー」って、か……かわいい♥

初めて見るお掃除ロボット「ルンバ」に感動する真修。素直に「すごいー」って、か……かわいい♥

高野 そういっていただけて、うれしいやらびっくりするやらです……! ありがとうございます。

――小学生の生活について取材されたりしているのかなあと。

高野 がっつり取材といったものはしてません。ただ、担当さんのお子さんがちょうど小学生なので、小学生の文化的なものだとか「今の子ってこういうこと知ってますか?」と聞いていただいたりはしています。あ、あと……小学校で飼っているうさぎの名前。あれは実際、小学生の時にうさぎ当番をしてた人に連絡して「めちゃくちゃ昔の話だから覚えてないと思うけど、あのうさぎの名前なんだっけ?」と聞いてみたら、なんとばっちり覚えてて。なので「まくら」や「ふとん」はリアル小学生命名なんです。もしかしたらそういう細かすぎる「本物」がいい味を出しているのかもしれません。

作中にでてくる、学校のうさぎの名前は真修が命名。「ふとん」「まくら」……ネーミングセンスも子どもらしくてキュンとする。

作中にでてくる、学校のうさぎの名前は真修が命名。「ふとん」「まくら」……ネーミングセンスも子どもらしくてキュンとする。


真修の“水着回”の裏には意外な懊悩が!?

――真修はこれまで同年代の子に恋したことはあるのでしょうか。

高野 あ~……! おそらくなのですが、あると思います。でも「恋した!→じゃあ次にどうこうしたい」っていうとこまではいかなかったんじゃないのかな。近くにいたらうれしいなとか、名前を見るとドキッとするなとか。そのあたりで止まってたんじゃないですかね。

――聡子と真修だけでなく、菜緒と真修の関係も気になるところです。菜緒は聡子と真修の距離感に対してどういう気持ちでいるのでしょう。真修に対して恋の自覚は?

高野 聡子のことは真修から「サッカーを教えてくれている人」と説明を受けている菜緒ですが、真修が聡子さんを語る時に見せる表情や、8話でプールサイドに並ぶ2人の姿を知っているので、だれよりも何かのひっかかりを感じている登場人物だと思います。でも、彼女もまだ視野を狭くしたまま生きているといいますか……無意識にあえて気づかないようにしていることがまだまだ多いので、2人に対する感情や自分の気持ちも、容量がいっぱいになるまでは気づかないんじゃないのかなあと思います。

無防備になり、無意識に肌が触れあう2人。距離感がどんどん近づいていく。それをただただ見つめる菜緒……。

無防備になり、無意識に肌が触れあう2人。距離感がどんどん近づいていく。それをただただ見つめる菜緒……。

――「このマンガがすごい!2017」本誌にて、1巻のお気に入りシーンとして菜緒に真修が駆け寄るシーン(3話)を選ばれていましたね。

高野 3話で「菜緒ちゃんに感情移入して読みました!」という感想をもらってすごくびっくりしたんですよ。「聡子さんに感情移入して読んだ」というお声は多くいただくのですが、まさか菜緒ちゃんに憑依してもらえるとは思っておらず、私のなかでは若干冒険的な第3話でしたが、描いてよかったと心から思いました。菜緒もお気に入りのキャラクターなのでそういっていただけてうれしいです。

――菜緒の視点からはその優しい性格、繊細な気づかいができる子だと伝わってきます。ちなみに2巻でのお気に入りシーンは?

高野 8話の水着回は、ずっと描きたいなと思っていましたし、読者の方もテンションが上がってくれたので念願叶ってよかったです。真修の乳首を描くかどうかで編集さんと何度もやりとりをしましたね(笑)。最初は描いてたんですよね。でも、あると話に集中できないということになって、結局取っ払ってしまいました。今考えるとふしぎな理由ですね……!

編集担当さんの厳しい(?)チェックによって完成したまばゆいシーン。単行本でも担当さんの“真修チェック”について高野先生はふれているが、こうして美しい少年は生まれる……!

編集担当さんの厳しい(?)チェックによって完成したまばゆいシーン。単行本でも担当さんの“真修チェック”について高野先生はふれているが、こうして美しい少年は生まれる……!

――細かい配慮(笑)。たしかに真修の水着姿、ドキッとしました! 私個人は特に少年趣味ってわけじゃないんですが……。

高野 私自身、少年キャラクターというものにハマったことはないんですよね。
まわりにいる、いわゆる「ショタコン」な友人からいろいろ話を聞いて「へえ~」とふしぎ発見をするばかりで。ただ、うーん、ハマったことはないんですが、『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングとか、リバー・フェニックスとか、『太陽と月に背いて』のレオナルド・ディカプリオとか、美しいなあと思った青少年の男の子たちの面影をいまだに追い続けている節はあるんだなあと、iPhoneに保存されてる画像一覧を見ながらしみじみ気づきました(笑)。

――聡子が真修の「ほっぺたをぷにっ」としたり、プールサイドで肌が触れあう、抱擁など物理的な接触が多くなっていますよね。この先「恋愛」感情まで行きつくのか気になります!

高野 その場合は行きついてしまったあとのことも描かなきゃいけないですものね。考えるだけで楽しいし、そして怖いです! なにかと心配性です(笑)。今は、真修が聡子の感情に一歩近づこうとしたときに聡子がどういう反応をするのか、という部分をはやく描いてみたいです。あとは菜緒の動向も気になりますね。彼女はこれからのキーパーソンになってくると思うので。いびつな三角関係になるのかどうか……。

取材・構成:粟生こずえ

\『私の少年』最新第3巻は現在好評発売中!/ watashinosyounen_s03

『私の少年』第3巻
高野ひと深 双葉社 ¥620+税
(2017年7月12日発売)

■次回予告

次回のインタビューでは、さらに制作時のお話や高野先生ご自身のことについてうかがっていきます。みんなが気になる今後の『私の少年』の展開も明らかに……!?
インタビュー第2弾は、7月27日(木)公開予定です! お楽しみに!

高野ひと深先生の『私の少年』も紹介している
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