ほおづえポーズに長~いため息、寝ているのか起きているのかわからない視線……。“がんばること”の対極にいるウルトラスーパーめちゃくちゃけだるげ高校生、それが田中くん。
草食系男子が主人公のマンガは数あれど、ここまで徹底的に無気力な主人公は見たことない!?
『田中くんはいつもけだるげ』はそんな田中くんと、デカくていかついルックスと裏腹に高い女子力とかいがいしさで田中くんを世話する友だちの太田くん、田中くんを「師匠」と呼ぶ超ハイテンション女子・宮野さんや自称ヤンキーの越前さんらゆかいな仲間たちがくり広げる、まったりユルユル時々胸きゅんな青春コメディだ。
『このマンガがすごい!2015』オンナ編で17位にランクインし、最新刊の4巻も話題の本作について作者のウダノゾミ先生にインタビューを敢行しました!
スーパーめんどくさがりや主人公の誕生秘話
――『田中くんはいつもけだるげ』が『このマンガがすごい!2015』オンナ編で17位にランクインしました。まずは率直な感想をお聞かせください。
ウダ ただただ驚きました! 本当にありがたいです…。実際に本に掲載していただいているのを見て、じわじわとうれしさがこみあげてきました。ありがとうございます。
――前作の『放課後ヒーロー』(スクウェア・エニックス)も、男子高校生を主人公としたコメディでしたね。
ウダ 正直なところ、私は『放課後ヒーロー』のあとは、女の子を主人公にした作品を描いてみたいなぁ、と思っていたんです。
――そうなんですか? 前作終了後、次回作としていろいろな案があったと思います。どういった経緯で「田中くん」は誕生したのでしょうか?
ウダ 「いつもけだるい田中くん」と「それを見守る誰か」の話……というアイデアは、担当さんからいただきました。でも私は、先ほど言ったように別案を考えていたので、はじめは別案のほうをさりげなく出していたんですよ。だけどそちらはどうも色々と弱いな、ということになりまして……。じゃあ「田中くん」を考えてみるか……と、こちらのアイデアに着手したんです。
――最初はそんなに気乗りしていなかった?
ウダ ただ、いざ着手してみると、自分でもびっくりするほどスッとキャラが浮かんできたので、「あっこれはイケるかもしれない!」と思って、ネームを作りはじめました。今ではすっかりノリノリで描いています!
――主人公の田中くんは、かなり個性的なキャラクターですね。
ウダ 「常にけだるい」というアイデア自体は担当さんからもらいましたが、ただけだるいだけだと、ちょっと気どっている感じが出そうな気がしたんです。
――斜に構えているような?
ウダ なので、ただけだるいだけではなく、そこに間抜けな要素を足そうと思いました。だからタイトルも「けだるげ」なんですよ。
――ああ、たしかに。『田中くんはいつもけだるい』だったら、またニュアンスが違ってきそうですね。
ウダ あいまいな感じとかゆるさを出したくて、それで「げ」をつけて「けだるげ」にしたんです。
――じゃあ、タイトルはかなり初期から決まっていたんですね。
ウダ そうですね、キャラクターを作るよりも先に決まっていました。
――田中くんは、マンガのキャラクターとしては、特殊というか、自分から動くタイプではないですよね? 話を動かすうえで、なかなかご苦労があるかと思うのですが。
ウダ サブキャラがよく動いてくれるせいか、意外と苦労していなかったりします。田中くんは、まわりに巻きこまれたら、流れに乗っていくタイプなので…。
――「いつもけだるい田中くん」と「それを見守る誰か」の話、というコンセプトどおりなんですね。
登場するキャラクターは「友だちになりたい」がキーワード
――田中くんは、本当にいつもけだるそうです。ただ、そこに共感する読者も多いようですが。
ウダ 自分の体験をもとに描いていることが多いです。
――“だるさ”あるある、みたいな?
ウダ そうですね。自分でも引いてしまうくらい、ダラダラと無益な1日を過ごしてしまうことがよくあるので……。
――描いていていちばん楽しいキャラは誰ですか?
ウダ 田中です。喜怒哀楽の微妙な変化を描くのが楽しいです。
――実際に田中くんが同級生にいたら、ウダ先生だったらどうします?
ウダ たぶん、あんまり親しくなりすぎないと思いますよ。遠くから見守りつつ、観察日記をつける感じになるんじゃないでしょうか?
――田中くん以外のサブキャラクターは、モデルとかいるんですか?
ウダ いえ、特にいません。自分が「友だちになりたいなぁ」と思うキャラを作っている感じです。
――ちなみに、ウダ先生が気に入っているキャラクターは誰でしょう?
ウダ 主要キャラじゃないところだと、ワックのアルバイト店員・西園寺さん(20)です。