近年、ものすごい勢いで“キてる”のが「WEBマンガ」というジャンル。
「pixiv」や「ニコニコ静画」はもちろん、大手の出版社も今やこぞってWEB先行、あるいはWEBオンリーコンテンツを提供しはじめ、それらのなかに、「このマンガがすごい!」へのランクインも含め、高い評価を得ている作品が多数。
7月の月間ランキングしかもオンナ編は、特にその現象が顕著!
ランキング作品中ほぼ半数がWEB発のマンガというこの状況、紙の雑誌も愛する「このマンガがすごい!」として、ちょっとさびしくもありますが、その反面、マンガの新時代にワクワクするものでもあります。WEBで読めても単行本を手元に置いておきたいと思わせる至極のラインナップがこちらです!
(2015年5月1日~5月31日発売作品を集計)
第1位(150ポイント)
『東京タラレバ娘』 東村アキコ
『東京タラレバ娘』
東村アキコ 講談社
「〇〇だったら……」「〇〇できれば……」と「タラ」「レバ」ばかりを繰り返していたら、いつしか恋愛から縁遠いアラサーになってしまった脚本家の倫子、ネイリストの香、そして彼女たちのたまり場の居酒屋の娘・小雪の3人。
第2巻は、3人にずけずけ物申すイケメンのKEYと倫子が一夜を共にしたところからスタート。また、香と小雪にもそれぞれ“事件”が起こって、3人が3人とも恋愛の迷路にハマってしまうことに……。
『このマンガがすごい! 2015』のオンナ編で堂々2位にランクインした作品は、まだまだ勢いが収まる気配がありません。
急展開にハラハラドキドキ、自分のことを考えてみたらアイタタタ……という読者のみなさん、2巻ですよー。
オススメボイス!
■私がアラサー独身女性だったらこのマンガを破り捨てて壁に投げつけてそうな、じつにえげつない破壊力。たまたま自分とは違うベクトルを向いてるから笑いながら楽しく読んでられるけど、それでも「同じ会社で別の部署の人が理不尽に叱られてる」ような気まずさはあります。そんなモヤモヤした最低の読後感が最高(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)
■ストーリー展開の妙がすごい。ものすごいテンポで畳みかけてくるその軽快さは、クドカンの脚本のようです(境真良/国際大学GLOCOM客員研究員・経済産業省国際戦略情報分析官(情報産業))
■おもしろい! メチャメチャおもしろいんだけど、これをゲラゲラ笑いながら読んでる自分の女子(?)カテゴリーからの乖離っぷりはいかがなものかと……(小山まゆ子/フリーランス編集/ライター)
■『ヲタクに恋は難しい』と同様に、自分に通じる部分が多々あって、なんだか胸が痛いようないっそ笑いまくりたいような気持ちになります。それにしてもあいかわらずテンポがよく、ギャグもおもしろい! 倫子さんとKEYの今後の関係がどうなっていくのか楽しみです(穂高茉莉/楽器店店員)
■歳をとるごとに、だんだんただのコミュニケーションにすぎない気がしてきて、マヒしているセックスという行為。でも「ヤったからってつきあってるとはかぎらない」っていわれるとなんだか傷つくのはなぜだろう(オオタシンイチ/カメラマン・編集)
「日刊マンガガイド」での第1巻ご紹介は、コチラ!!
第2位(112ポイント)
『塩田先生と雨井ちゃん』 なかとかくみこ
『塩田先生と雨井ちゃん』
なかとかくみこ イースト・プレス
高校生・雨井ちゃんと担任の塩田先生は、じつはほかのみんなに内緒でつきあっている恋人同士。
好きな気持ちを全力で表す雨井ちゃんに、少々ヒキつつも憎からず思っている塩田先生のほのぼの日常マンガです。
pixivで人気の作品が、大幅加筆修正と描き下ろしを加えて単行本化!
とにかく気持ちがまっすぐな雨井ちゃんのいじらしさに、萌えちゃってください。
オススメボイス!
■先生と教師のひみつの恋愛。ほほえましい2人のやり取りは、癖になることうけあいです(杉山陽一/COMIC ZIN 秋葉原店 コミックバイヤー)
■男性教師と女子生徒がこっそりおつきあい中、というたったひとつのシンプルな前提を突きつめたロマンティックコメディ。つきあうまでの過程だとか、ゆく末はどうなるのとか、前後の余念は挟まず、仲のよい2人の言動にキュンキュンするための作品です。いちゃいちゃとかベタベタだけではない、落ちついた情感が特徴的。粋です(宮本直毅/ライター)
■先生に振り向いてほしくて積極的な雨井ちゃんと、ずぼらだが優しくて意外とイケメンな塩田先生の少しオールドタイプな恋愛マンガ。朴訥な絵柄が心地よく読み手の感情に染みこんでくる。キャラがみんなかわいくて素敵です。次回作にも期待!(太田和成/あゆみBOOKS五反田店コミック担当)
■女子高生の雨井ちゃんと担任の塩田先生の心温まるラブコメ。キュンキュンすること間違いなし!(旭屋書店なんばCITY店 平田/「旭屋書店」コミック担当)
■“道ならぬ恋”をここまで爽やかに描けるとは!? とりもなおさず雨井ちゃんのキャラクターに負うところが大きいなと思いました(富士見大/編集・ライター)
第3位(82ポイント)
『プリンセスメゾン』 池辺葵
『プリンセスメゾン』
池辺葵 小学館
居酒屋で働きながらお金を貯めて、いつかマンションを買うことを夢見る女性、沼越さん。
年収200万ちょっとの独身女性が我が家(マンション)を求めて悪戦苦闘する日々を、淡々とではあるが温かい視線で描く。
twitterなどから火がつきはじめ、こうした作品でありがちな恋愛模様とは無縁な作風が共感を呼びました。
オススメボイス!
■WEB連載時からコミックになるのを楽しみに待っていました! 居酒屋で働きながら貧乏暮らしをしつつ、いつかマンションを買うことを夢見ている沼ちゃんは、はたして運命の物件に出会えるのか。今後も楽しみです!(八尾美映子/三省堂書店神保町本店コミック担当)
■まだ見ぬ家に夢を見、住み慣れた家に安らぎを見出し、あるいはひとり孤独を抱く。年齢も立場も異なる女性たちと家との関係姓を鮮やかに描く池辺葵先生の最新作は、かの名作『どぶがわ』をも凌駕する大傑作の予感。池辺先生が描く人々の孤独、そして孤独者たちの緩やかな連帯は、楽観とも悲観ともいえない、私たちのリアルな幸せを優しく紡ぎ出すのだ(小田真琴/女子マンガ研究家)
■ベタベタした恋愛要素がないのがいい。我が家を探すのに惚れたはれたは邪魔でしかないのだ(滝川レイ/フリーカメラマン)