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堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』インタビュー 師弟関係の描写はあの映画からの影響大!! そして今後の展開でデクたちの“アレ”が変わる……!?

2016/06/19


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、堀越耕平先生!

今春からスタートしたアニメも絶好調、少年マンガ界で今もっとも“旬”な作品と言っても過言ではない、『僕のヒーローアカデミア』!
その作者である堀越耕平先生に、連載までの道のりや、文字どおり「個性」豊かなキャラクターたちの誕生秘話などについて詳しく語っていただいた前回のインタビュー記事は、アップすると同時に大反響をいただきました!

<インタビュー第1弾>
堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』インタビュー 新世代の王道少年マンガはアメコミヒーロー×学園もの! 人気炸裂(SMASH!!)の連載へと短編を進化させた方法とは!?

今回は、『僕のヒーローアカデミア』を語るうえで避けては通れないアメリカン・コミックの話題や、影響を受けた映画・マンガなど、堀越先生個人のパーソナルな面にディープに迫り、さらに『僕のヒーローアカデミア』の世界観が深まるインタビューをお届けします。
そして、今後の展開における注目のポイントも……!?

著者:堀越耕平

愛知県出身。
大学在学中に読み切り「ヌケガラ」で第72回手塚賞佳作を受賞。

その後「赤マルジャンプ」に、読み切り「テンコ」「僕のヒーロー」「進化ラプソディ」を掲載したのち、「週刊少年ジャンプ」2010年2号に「逢魔ヶ刻動物園」を掲載。この短編作品をベースにした同タイトルの作品『逢魔ヶ刻動物園』を2010年から2011年まで連載する。2012年には同誌で『戦星のバルジ』を連載。
そして2014年、「ジャンプ」にて『僕のヒーローアカデミア』の連載をスタート。

2016年4月からはMBS・TBS系列にて、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』が絶賛放送中!
TVアニメ公式サイトはコチラ

あのアメコミヒーローやSF映画から受けた影響は意外なところに!?

――オールマイトというキャラクターの誕生をきっかけに、読み切り作品「僕のヒーロー」にはなかったアメコミ的要素を散りばめる発想が生まれたとのことでしたが(前回記事参照)、そもそも堀越先生のアメコミ好きは、2002年公開の映画『スパイダーマン』[注1]から始まったとお聞きしています。当時、『スパイダーマン』は“日本の特撮ヒーロー番組”の延長線上にある作品としてご覧になられたんでしょうか?

堀越 まったく別物として観ていました。日本の特撮ヒーローには「変身」という概念がありますが、スパイダーマンはピーター・パーカーがピーター・パーカーのまま、スパイダーマンのコスチュームを着ているので、変身する日本のヒーローとは違うものだと思っていました。

――数あるアメコミのなかでも、特にお気に入りのキャラクターやタイトルというと? 作品を拝見してる限りだと、なんとなくヴェノムがお好きなのかな……という感じもするのですが(笑)。

堀越 やはりスパイダーマンですね。なかでもスーペリア・スパイダーマン[注2]が好きです。ヴェノムももちろん好きですよ(笑)。好きなアーティストは、ライアン・ステッグマン[注3]さん、グレッグ・カプロ[注4]さんです。

――スパイダーマンの話が出たのでお聞きしますが、雄英の校訓「Plus Ultra!!」(さらに向こうへ!!)は、やはりスタン・リー[注5]氏が使用する「Excelsior!」(向上せよ!)を意識して? 偶然なのかもしれませんが、「ウルトラ」という単語が入ったことで、日本のヒーロー=ウルトラマンもイメージさせる言葉になっていますね。

英雄学園の生徒・教師たちの合言葉は、校訓である“Plus Ultra!!”(さらに向こうへ!!)だ。

英雄学園の生徒・教師たちの合言葉は、校訓である“Plus Ultra!!”(さらに向こうへ!!)だ。

堀越 ご質問のとおり、「ウルトラ」は(ヒーローを扱う作品として)なじみのいい言葉だと思い、校訓に使わせてもらいました。校訓をつくった経緯そのものはスタン・リーさんの言葉とは関係ないのですが、ニュアンスは「Excelsior!」っぽくしたいなとは考えていましたね。

――いま、アメコミ映画ブームですが、逆にいっぱいありすぎて、初心者には手を出しづらい状況とも言えます。そんな読者の皆さんに、堀越先生からオススメできるタイトルは?

堀越 映画は『アイアンマン』[注6]か『スーパー!』[注7]。コミックなら『アストロシティ』[注8]です。

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――ちなみに、日本の変身ヒーロー番組や怪獣映画も好んで観られたりするのでしょうか? 仕事場のスタジオには、アメコミや洋画のキャラクターに混じって、デストロイアやレギオンのフィギュアが飾られてますよね。

堀越 やっぱり平成ガメラと平成ゴジラ[注9]が好きです。子どもの頃から映画が公開されるたび、映画館に連れていってもらってました。

――洋の東西を問わず、多くのエンターテイメントから吸収されていることが作品からも伝わってきます。前作『戦星のバルジ』も、SF映画ファンのひとりとして楽しく読ませていたのですが、『僕のヒーローアカデミア』でも、地名が「スター・ウォーズ」シリーズに登場する惑星名のもじり[注10]となっていますよね。

堀越 SWからはすごい影響を受けています。地名もじりは、自分が楽しめるように、気楽にいられるように、という自己満足ですね(笑)。

第1話に登場する田等院(たとういん)駅は、SWシリーズの主人公であるルークとアナキンの故郷、惑星タトゥイーンから。

第1話に登場する田等院(たとういん)駅は、SWシリーズの主人公であるルークとアナキンの故郷、惑星タトゥイーンから。

――個人的には、室内に異形キャラがあふれ返っている場面などから“モス・アイズリーのカンティーナ魂”みたいなものが感じられて最高だと思ってるんですが(笑)、ほかにもSWシリーズから強い影響を受けた部分はありますか?

堀越 人間関係や師弟関係を描く上での影響も強いと思います。それとSWは、映像ではチラッとしか映らないキャラクターにも、ものすごい魅力がありますよね。自分も、マンガでそういうことがやれるようになりたいです。


  • [注1]『スパイダーマン』 サム・ライミ監督による実写映画三部作の第1作目。ほかにスパイダーマンの実写映画には、マーク・ウェブ監督による「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ、「マーベル・シネマティック・ユニバース」に連なる『SPIDER-MAN:Homecoming』(原題、2017年夏公開予定)といった作品群がある。
  • [注2]スーペリア・スパイダーマン 「Superior Spider-Man」。悪の天才物理学者であるDr.オクトパスは、自分の余命が幾ばくも残されていないことを知り、宿敵であるスパイダーマンことピーター・パーカーが持つ健康な肉体を狙い、精神の入れ替えを試みる。その企みは成功するものの、ピーターの波乱に満ちた半生と責任感の重さに心を揺さぶられてしまい、彼よりもスーペリア(=より優れた)なスパイダーマンとなって生きることを決意するのだった。
  • [注3]ライアン・ステッグマン 前述の「Superior Spider-Man」誌などの作画を担当。
  • [注4]グレッグ・カプロ 「THE NEW 52!」シリーズ(2012年に再編された、DCコミックスの作品群の総称)における「Batman」誌などの作画を担当しているほか、日本では「スポーン」シリーズを手掛けていたことでも有名。
  • [注5]スタン・リー マーベル・コミック編集委員。スパイダーマンやハルクやマイティ・ソーなど、数多くの人気キャラクターを生み出した漫画原作者(ライター)・編集者。「Excelsior!」は、編集後記の締めの言葉として使用していた決め台詞。現在では、数々のマーベル映画への“カメオ出演専門役者”としてもおなじみ。
  • [注6]『アイアンマン』 「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズの第1作で、2008年に公開された。主人公のアイアンマンことトニー・スタークは、ロバート・ダウニー・Jr.の当たり役となる。
  • [注7]『スーパー!』 アメコミファンには『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でも知られるジェームズ・ガンの監督・脚本によるコメディ作品。「神の啓示」でヒーローとなり悪人を成敗する狂気の男を、ブラックな笑いと過激な暴力描写で描く。
  • [注8]『アストロシティ』 カート・ビュシークとブレント・アンダーソンによる、架空の都市・アストロシティを舞台とした作品。一般市民たちの視線から見たスーパーヒーローの存在や、スーパーヒーローが暮らす都市で生活するという意味、またスーパーヒーローの日常生活などを、主に一話完結方式で描く。
  • [注9]平成ガメラと平成ゴジラ 「平成ガメラ」シリーズは、1995年公開の『ガメラ 大怪獣空中決戦』から始まる三部作のことで、レギオンは第2作『ガメラ2 レギオン襲来』に登場する怪獣。「平成ゴジラ」シリーズは、1984年公開の『ゴジラ』に端を発する一連の作品群の総称。特に、1989年公開の『ゴジラVSビオランテ』から1995年公開の『ゴジラVSデストロイア』までを「平成VS」シリーズと呼ぶ。デストロイアは『VSデストロイア』に登場。
  • [注10]惑星名のもじり 画像の田等院駅=タトゥイーンのほか、保須市=ホス、結田府消防=ムスタファー……など多数。

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