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『僕のヒーローアカデミア』第1巻 堀越耕平 【日刊マンガガイド】

2014/11/19


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『僕のヒーローアカデミア』第1巻
堀越耕平 集英社 \400+税
(2014年11月4日発売)


世界人口の8割が何らかの特異体質である“個性”を持って生まれる超人社会。
何の個性もなかった少年・緑谷出久は、個性を悪用するヴィラン(悪党)と戦うヒーローになるため、エリート校の雄英高校ヒーロー科に進学して奮闘する……。

個性格差社会のどん底にいた主人公が、がむしゃらにトップヒーローを目指す。
とにかくアツく、ひたすら王道。出久がヒーローの頂点にいるオールマイトと出会い、後先顧みずに人助けをするヒーロー気質を認められ、力を譲り受けるくだりも正統派。

しかし、オールマイトの個性はワン・フォー・オール、つまり“ワン”の力が人から人へと譲り渡され、ひとつの“オール”にまとめあげられた力だ。強力だが譲られる者が十分なキャパシティを鍛えていなければ、カラダが破裂してしまう!
おまけに中学時代のいじめっ子が雄英でも同級生になった逆境を、出久は勇気と知恵と工夫で汗まみれになって乗り越えていく。

マッチョという概念が服を着たようなオールマイトやヒーローたちは、いかにもアメコミ風。だがアメコミは単体のヒーロー同士が人気が出てからクロスオーバーしたり、コミックが十数年続いて世界観が定着した、長年の積み重ねの上にある。
たったひとりの漫画家の手により「ヒーローたちが戦い続けてきた社会」が最初から打ち立てられた本作はとてつもない!

逆境に立ち向かう主人公の姿は、作者の堀越耕平さん本人にも重なる。
かつてジャンプに連載されていた『逢魔ヶ刻動物園』は5巻に終わったが、キャラ立ちした登場人物たち、笑いありアクションあり、コマ運びやストーリー展開も新人離れした達者さがファンの心をつかんでいた。 今度こそ実力に見合った長期連載になることを祈ります。



<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。

単行本情報

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