あの超密度の絵の秘密は!? デクたちの“アレ”の変化に要注目!
――これから散文的な質問が続いてしまいますが、まず堀越先生が子どもの頃や学生時代に好きだったマンガ作品はなんでしたか
堀越 『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『NARUTO -ナルト-』です。はじめて買ったマンガは『ドラゴンボール』でした。
――漫画家になろうと考えたのはおいくつぐらいの時でしたか? また、そのきっかけは?
堀越 小学生の頃、母や友人が絵をほめてくれたのがうれしかったので。当時は「絵を描く仕事=漫画家」しか頭になかったです。
――では、はじめて本格的にマンガを描いたのはいつごろでしょうか?
堀越 大学生、19歳の時です。
――漫画家になるうえで、とくに影響を受けた作品があればお教えください。
堀越 絵に関しては、長田悠幸[注11]先生に多大な影響を受けています。僕のなかで少年マンガ絵の完成形は長田先生の絵、というくらい憧れています。
――現在、注目しているマンガ作品はございますか?
堀越 眉月じゅん先生の『恋は雨上がりのように』。かわいいので。
――マンガを描いていて、一番楽しいモノはなんでしょうか?
堀越 モンスターやクリーチャーです。モンスターやクリーチャーを自然に出せるマンガにするために、設定を考えていた節もあります(笑)。
――では『僕のヒーローアカデミア』のなかで気に入っているシーンも、やはりヴィラン関係?
堀越 死柄木が襲来してきたところは、なかなか気に入ってます。1ページ丸々どアップのコマです。1コマで雰囲気を壊して緊張感のある展開にしないといけなかったので、気合が入りました。
――今年の春から、アニメ版の放送が開始されました。じっくりとエピソードを描いていくスタイルで、ビジュアル的にも見ごたえがあります。アニメ化によって、具体的に作品や執筆時の心持ちに影響が出た部分はありますか?
堀越 キャラの声を頭で想像できるようになったのが大きいです。「(このキャラは)こういうニュアンスで話すだろう」と考えながらセリフを入れるようになりました。
――初連載の『逢魔ヶ刻動物園』の時から、とにかく絵がうまい方という印象があったのですが、『僕のヒーローアカデミア』は前作『戦星のバルジ』と比べても、明らかに画面が見やすくなった感じがします。むしろ、絵の密度は上がっているのに! そこで、前作終了から本作連載開始までの期間にあった“気づき”であったり、構図やコマ運びで気をつけている点があれば、ぜひ教えてください。
堀越 自分が“手クセ”で描く大きさより、ひとまわり小さく描くようにしています。カメラを気持ち引いて描くようなイメージです。以前はカメラが近すぎて見にくくなっていたところもあったのかなと、自分なりに改善はしているつもりですが、まだまだ勉強中ですね。
――週刊ペースで、あの絵の密度を維持し続けていく秘訣は? いい意味でのマンガを執筆していくうえでの「手の抜き方」というか、どういった部分で物理的な労力を省エネ化しているのか、とても気になります。
堀越 「手を抜く」というか、少ない線でかっこよく見せる技術や構図など、そのへんのワザが僕にはまったくないんです。なので、描きこむ(密度を上げる)ことでしかクオリティをあげられない、というのが正直なところです。以前から「ジャンプ」に掲載された時、自分のページだけが著しくクオリティが低い気がして恥ずかしかったので、「クオリティを上げなくては」という思いが強くあります。
――ストーリー面のお話もうかがえれば。連載開始前の段階で、物語の展開はどの程度先まで考えていたのでしょうか? 「ラストのみ決まっている」もしくは「あえて決めない」など、漫画家さんによって人それぞれですし、また作品のタイプによっても異なってくるとは思うのですが、『僕のヒーローアカデミア』の場合は?
堀越 “点”での出来事は最後まで考えていますが、その間をつなぐ“線”は決めていません。
――なるほど。では気になる今後の展開について。ちょっとしたヒント、もしくは注目してほしいポイントなど、読者の皆さんにお教えできることがあれば……。
堀越 コスチュームが強化されます。デクだけじゃなく、ほかのキャラも数人、コスチュームが変わる予定です。
――おお、新コスチュームですか! 楽しみにしています。それでは最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
堀越 読んでいただき、ありがとうございます! 偉そうに答えてきましたが、まだまだ勉強中の身なので、もっとおもしろいマンガになるよう精進してまいります。これからもどうぞ、応援よろしくお願いいたします。
現在、『僕のヒーローアカデミア』最新9巻が好評発売中!
さらにTVアニメはMBS・TBS系列にて毎週日曜17時から放送中。本日19日(日)は、デクたち1年A組メンバーたちに危機が迫るドキドキの第12話が放送予定とのことなので、お見逃しなく!!
- [注11]長田悠幸 主な作品に『トト!』『TRIBAL 12』『天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』『RUN day BURST』『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』など。
取材・構成:ガイガン山崎・編集部