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『あの娘はヤリマン』(北内乙三)ロングレビュー! 付き合わずに突き合ってばかり!! こんなとんでもない“ヤリマン”は見たことない! 少年ジャンプよ…これ、大丈夫なのか!?

2016/02/24


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ギャグとは「斜め上」だ。

カッコいいやつがひどい目に会う、美少女が下品な行いをする。予想の斜め上をゆく努力で消耗するから、ギャグ漫画家の作家生命は短いし、ときに長期休載したりもする。
だもんで最近は、ゆるやかな人情話を織り交ぜて、エンジンをいたわりつつペース配分するもの。

だが、このマンガはそこでブレーキを踏まず、毎回がフルスロットル。
かわいいヒロインのヤリマンが剣マンを、背を向けて油断したからと刺し殺す。峰打ちでも急所を外すでもなくマジぶっ殺す。ギャグマンガなのに! 

ケガしないかと気をもむ真夜に心配ご無用と冲美の槍が一閃。二戦目も敵の隙をついて快勝である。

ケガしないかと気をもむ真夜に心配ご無用と冲美の槍が一閃。二戦目も敵の隙をついて快勝である。

「手マンとやれる! うおお燃えてきたー!」

セリフはサイテーすぎるけど、実際のマンガはいやらしくない。
性的な目を向けられるだけで恥じらう乙女が「手マン」だの「マン臭」(○○マン達が発する気配のようなもの)だのと元気いっぱいに叫ぶギャップ。
それでいて清楚と下品が絶妙なバランスで、どちらにも傾かない綱引きが神の域。

手マンも悪代官に貞操帯を着けたり、端本少年を彼氏にしようと「手マン予約済」の紙を尻に貼ったり、見かけどおりでギャップはなくて普通にヒドい。

“最強”の名はダテじゃない。橋本を襲った斧マンも指先ひとつでダウンさ!!

“最強”の名はダテじゃない。橋本を襲った斧マンも指先ひとつでダウンさ!!

電子版ジャンプ「ジャンプ+」という受け皿があってラッキーだった。
「週刊少年ジャンプ」本誌でやるには刺激が強すぎ、「週刊ヤングジャンプ」で連載するにしては絵柄が少年誌チック。次元の狭間にあるマンガがやりたい放題やるためには、紙の鎖から解き放たれたデジタル空間がなくてはならなかった。

むさ苦しいオッサン系○○マンはどこかの最強トーナメントマンガの格闘家を思わせ、ヤリマンのお祖父さんは恍惚として(尿を漏らすと「はわわ」と幼女化)槍よりも秘剣を使ったほうが強そう……そんな出版社を超えた作風も含めてギリギリさを楽しめる、今もっとも尖ったギャグマンガなのだ。



<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。

単行本情報

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