日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『あの娘はヤリマン』
『あの娘はヤリマン』第1巻
北内乙三 集英社 ¥400+税
(2016年1月4日発売)
端本くんが片想いしている、林さん。
彼女はみんなが「とんでもねえヤリマン」と噂する。
気になって後をつけた端本くんは目にする。
彼女がまごうかたなき「槍マン」なのを。
……くだらねえ!
集英社が企画した『この“マン”がすごい!2016』でピックアップされているこの作品、「このマンガがすごい!」とは、関係ありません。
作中世界には「○○マン」と呼ばれる、数多くのマンがいる。剣マン、楯マン、弓マンなどなど。
各界のマンが集結し、どのマンが一番強いか「最強マントーナメント」が行われている。
林さんは槍マン代表として戦うのだが、トーナメントに出る前にライバルを倒せば楽になる、と考えて、先まわりして各地のマンを殺し始める。
現れるマンたちの名前も、多様になっていく。手マン、グロマン、ケチャマン……。
あ、手マンは手だけで戦うから手マンです。
槍マンの林さんと、竹槍マンの門松さん(こっちは本当にビッチなヤリマン)は、底抜けに明るくドまっすぐな、マン。
端本くんを巻きこみ、ツッコむ余裕もなく、マン同志の戦いを繰り広げていく。
敵や戦闘シーンは、板垣恵介オマージュ。男らしい筋肉が、画面狭しと飛びまわる。
開始4ページ目にして、出落ちなこのマンガ。
正直、「槍マン」というダジャレで話を盛りあげ続けていること、それ自体がすごい。
特に黒髪ロングで、生真面目で、わりと雑な性格で、殺人槍マンな美少女・林さんのキャラ立ち。槍マンの名前に劣らず、かなりキレている。
ギャグのテンションは、話が進むにつれ、高まる一方。
「君の考えたヤリマン」をTwitterやメールで募集し、マンガに登場する『キン肉マン』システムも取っている。
ただいかんせんダジャレなので、ちゃんと戦えるかどうかは別物。
読者と著者の妙な勢い、ちょっと半端じゃない。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」