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会いたかったり、怖かったり……「震えるベジータフィギュア」で業界激震!? 「震える」マンガ表現大特集【B級ニュース】

2016/03/08


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「満を持して登場! 震えるベジータフィギュア」について。


dragonball_s16

『ドラゴンボール 完全版』第16巻
鳥山明 集英社 ¥933+税
(2003年7月4日発売)

今週、「ベジータフィギュア業界」(公式サイトの原型師コメントより)に激震が走ったッ!

そんな業界があるのかという疑問はさておきッ!!
プレミアムバンダイにて『ドラゴンボールZ』の「フリーザ編」におけるベジータを再現したフィギュア『HGベジータ』の予約受付が開始されると、これがネット上で話題騒然となった。

なんとこのフィギュア、震えるのであるッ!!

台座に搭載されたバイブレーション機能のスイッチを入れると、このベジータがガタガタと震えるのだ。これはコミックス26巻の「ベジータは生まれて初めて心の底から震え上がった 真の恐怖と決定的な挫折に…」という、ベジータが涙を流した貴重なシーンを再現したものである。
人間的な震え方を実現するために研究に研究を重ね、なんと8カ月もの歳月を費やしたという。受注開始と同時に注文が殺到したというのだから、それだけ多くのファンが「震えるベジータ」に会いたくて会いたくて震えているのカナ?

じつはマンガのなかでは、怒り以外にも、様々な「震え」が表現されてきた。
「震えるベジータ」がヒット商品になるのなら、柳の下には2匹目のドジョウがいると考えるのがビジネスのセオリーってもんじゃあ、ないんでしょうか?

ビジネス・チャンスッ!!

そこで今回は、数々の「震えるマンガ表現」のなかから、「次に来る震えフィギュア」をバンダイプレミアさんへとプレゼンしていきたい。
震えて待てッ!


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『小学館文庫 漂流教室』第1巻
楳図かずお 小学館 ¥581+税
(1998年7月発売)

恐怖以外の震えとして、まず思い浮かぶのは「怒り」だろう。

楳図かずお『漂流教室』は、マンガ史に燦然と輝く不朽の名作である。
主人公・高松翔は母親とケンカしたまま小学校に行くと、授業中に大型地震に襲われてしまう。その地震が止むと、学校の周囲は砂漠と化していた。
大和小学校だけが、荒廃した未来世界へとタイムスリップしてしまったのである。

翔は大地震を迎える「運命の日」の前日から、些細なことをきっかけに、母親と険悪になっていた。
そのため当日の朝、起こしてもらえなかったのだが、そのときに「どうしてくれるんだい!!」「なぜ、だまってるんだっ!!」と、握り拳を顔の前でワナワナと震わせながら母親に食ってかかっていった。
「怒りに打ち震える」とは、まさにこのことである。

バンダイプレミアさん、次は怒りに震える「HG高松翔」はどうですかッ!?


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『トリコ』第1巻
島袋光年 集英社 ¥400+税
(2008年11月4日発売)

日常的に震えるとしたら、今の時期なら、寒さに震えるものだ。

寒さで体温が下がったときに身体が身震いすることを「シバリング」という。
身震いすることで発熱し、失われた体温を取り戻そうとする生理現象であり、寒さで口がガタガタ震えることもその現象の一種とされる。
そしてシバリングをマンガに採りいれたのが、島袋光年『トリコ』だ。

主人公トリコはシバリングで体温を保持したまま極寒の水中を泳いだり、美食會のトミーロッドは体内に飼っている卵を孵化させずに高温高圧で発射する技「ボムエッグ」に使ったり……と、その用途は様々。

バンダイプレミアさん、シバリングで震える「HGトリコ」はどうですかッ!?
(もしくは口からボムエッグを発射する「BB戦士トミーロッド」とか……)


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『FAIRY TAIL』第1巻
真島ヒロ 講談社 ¥400+税
(2006年12月15日発売)

ただまぁ商品開発としては、ちゃんと「売れるもの」じゃないとマズイ。
『漂流教室』も『トリコ』も、熱心なファンに支持されているけれど、男女を問わず売れるには「女性も手に取りやすい」のがキーポイントではないだろうか。

それには「かわいさ」を忘れてはならない。

真島ヒロ『FAIRY TAIL』に星霊として登場するニコラ(愛称プルー)は、全身が真っ白で、鼻がドリルのようになっていて、つねに小刻みに震えている。
生き物として、つねに震えているのだ。まあ、チワワもそうだし、案外そういう生き物はいるのかもしれない。

プルーは真島作品に共通して登場するキャラクターであり、前作『RAVE』では主人公ハルと行動をともにする。
いわば真島作品共通のマスコットのような存在なので、女性受けも(きっと)大丈夫なはず?

というわけでバンダイプレミアさん、自然に震える「HGプルー」はどうですかッ!?
『トリコ』も『FAIRY TAIL』も、バンダイさんならイケるんじゃないですかッ!?


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『失踪日記』
吾妻ひでお イースト・プレス ¥1,140+税
(2005年3月1日発売)

そして震えるといえば、アルコール依存症(アル中)も忘れてはならない。

吾妻ひでお『失踪日記』は、作者本人の体験にもとづくノンフィクション作品である。
かつて80年代にはニューウェーブ作家として脚光を浴びた吾妻が、失踪してホームレス生活をし、やがてアル中で入院する経緯が語られるのだ。

単行本用に描き下ろされた「アル中病棟」の章は、喫茶店でコーヒーを飲んでいるときに「なんか手が震える」ところから始まる。
吾妻ひでおの飄々としたタッチでアルコール依存症の恐ろしさが淡々と描かれていくのは、かえって不穏さが増すものであり、生々しく伝わってくる。

昨今は脱法ハーブとか覚醒剤がやたらとメディアを賑やかしているが、アルコールもまた依存性の強い薬物であることを、今一度再認識しておくべきだ。酒は飲んでも飲まれるな、である。
バンダイプレミアさん、アル中で震える「HG吾妻ひでお」は……無理だよなぁ。


ここまで「次に来る震えフィギュア」をプレゼンしてきたが、「HGベジータ」の公式サイトに寄せられた各界からのコメントを、そのまま引用できそうだ。

「これ震える必要ありますか?」

う、う~~ん。
ここまで読んでくれた方、ほしい「震えフィギュア」案はありましたか?



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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