複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。
今回は、「天国に一番近いアイドル「KBG84」、ついにメジャーデビュー」について。
平均年齢84歳の最高齢アイドルグループ「KBG84」、ついにメジャーデビュー。
キャッチコピーは「天国に一番近いアイドル」!
70歳代は「研究生」、80歳から「正規メンバー」で、最高齢は97歳!!
ケンシロウのように「おまえのようなババアがいるか!!」(『北斗の拳』第8巻)とツッコんでしまいそうなグループだが、事実なのだからしょうがない。
もともとは沖縄の離島・小浜島(こはまじま)にあった「小浜島ばあちゃん合唱団」から名称変更したものだが、英国BBCなどが報道して世界的に注目されるや、都内で開催したコンサートは満員大入り。10月14日に発売されたメジャーデビューシングル『Come on and Dance 小浜島』は、世界152カ国でリリースされるという。
もしAKBのように握手会をやるとしたら、客のなかに医者を紛れこませておき、握手と見せかけて脈をとって健康状態をチェックしたりするのだろうか? まあ、「恋愛禁止」ということもないだろうから、なかなか推し甲斐があるのかもしれない。
いずれにせよ、現実世界の「おばあ」たちはずいぶんパワフルだ。しかし、マンガの世界も負けてない。今回はKBG84に匹敵するような「選抜メンバー」を、マンガの世界から選びたい。
『あぶさん』第107集
水島新司 小学館 ¥552+税
(2014年3月28日発売)
センター候補は水島新司『あぶさん』の武藤ワカ先生。
初登場は1989年(第42集「何ばしよーとかいなこン子は」)で、そのときすでに100歳!
ワカ先生は小説『酒とバット』で新人賞を受賞し、「100歳の新人」として脚光を浴びた。以降、『あぶさん』では準レギュラーとなり、年齢などおかまいなしに、あぶさんに熱烈なアプローチを続ける。
2014年に迎えた最終回(第107集「大吟醸あぶさん」)にも登場しているから、そのときは124歳になっていたハズ。
なかなかアクの強いキャラなので、「私のことは嫌いでも、あぶさんのことは嫌いにならないでください!」といったところだろうか。
『幽☆遊☆白書 完全版』第12巻
冨樫義博 集英社 ¥390+税
(1993年2月発売)
冨樫義博『幽☆遊☆白書』に出てくる幻海も、記憶に残る「おばあ」キャラだ。
普段は老婆の姿だが、霊波動で若返ると美少女になったりする。
浦飯チームの一員として出場した暗黒武術会では、戸愚呂・弟と死闘を演じた(第10巻)。
「50年前の暗黒武術会」で優勝したメンバーのひとりであるため、年齢的には70歳前後と想定される。KBG84的には「研究生」扱いだろうが、身長的にも「高齢者業界のミニモニ。」ということで、ひとつ。
浦飯幽助をはじめ、のちには蔵馬の依頼で死々若丸らも鍛え上げた名師範である。弟子たちには「つぶすつもりできてください」くらいのことは言いそうだ。
『よつばと!』第12巻
あずまきよひこ KADOKAWA
(2013年3月9日発売)
いま注目の「おばあ」キャラといえば、あずまきよひこ『よつばと!』だ。
11月27日には、前巻から2年8カ月ぶりとなる最新13巻の発売が予定されている。
よつばの“ばーちゃん”は、これまでよつばやとーちゃんの会話のなかに出てくるだけだった。
よつばは、かつて「ばーちゃんとじーちゃんの家」に住んでいたようだが、13巻ではいよいよ“ばーちゃん”がよつばの家を訪れる。
よつばとばーちゃんは、どのような再会を果たすのか? 「この景色をもう一度見たかった」と言ったりは……しないか。
ほかにもエンヤ婆(『ジョジョの奇妙な冒険』)や占いババ(『ドラゴンボール』)など、まだまだ個性的な「おばあ」キャラはたくさん。
毒蝮三太夫のように「うるせぇ、ババア」「ババア、長生きしろよ!」などと毒づかなくても、いまの若い世代よりもはるかに元気だ。
そういえば、2011年に復刻された楳図かずお『ウルトラマン』(1966年「週刊少年マガジン」連載版)で、アラシ隊員(テレビ版『ウルトラマン』で毒蝮三太夫が演じた)を見ると……マムちゃん若い!
四角い輪郭と太い眉毛、くっきりした目鼻立ちは、まさしく若かりし日のマムちゃんである。というか、楳図先生の描くバルタン星人が怖すぎッ!
『講談社漫画文庫 ウルトラマン』下巻
楳図かずお 講談社 ¥850+税
(2011年6月10日発売)
オタク第一世代(1960年代生まれ)もそろそろ介護施設に入るような年齢に差しかかってきた。
老オタクは若い介護士にウンチクを垂れたり、攻め受け論争で争ったりするだろうから、そろそろ利用者も介護士もオタクという、オタク専用介護施設なんてのが出てくるかもしれない。
そうしたら、施設内で一年じゅうコミケを開催すればいいじゃない。それこそオタクにとって「天国に一番近い」施設になるはずだ。
というわけで、日本は現実の世界もマンガのなかも、お年寄りが元気です。