『青年発火点』
雨隠ギド 新書館 \648
(2014年6月30日発売)
青年誌で連載中の『甘々と稲妻』も人気の、雨隠ギドの新作BLマンガは、ふんわりと甘酸っぱい。
舞台は、とある高校。地味で人と関わりを持とうとしない学が、同級生に絡まれていたところ、イケメンな下級生・山隈に助けられる、わりとベタな展開から始まってゆく。
姉が夜の店で働いているのが気に入らない、恋愛ごとに疎い山隈。こっそりエロ雑誌でライターのバイトをしており、知識(だけは)豊富な学が相談にのっているうちに、2人の距離は近づいてゆき、言葉が追いつかないまま関係を続けていたのだが、ある時――。
近ごろ、もうカラカラ、潤いが足りません、ってそこのあなた。というか、わたし! きゃーん、やばいっす!
素直で飾らない2人の気持ちが、甘酸っぱすぎて。傷つくのが怖くて逃げてしまう、でも諦めきれない。心の揺れが、眩しすぎて。
未熟さ、切なさ、甘さ……。それらがすばらしい按配で配置されており、ふんわりとかわいらしい絵柄もともなって、この1冊で、それはそれはたっぷり潤い補充ができちゃったよー!
<文・かとうちあき>
人生をより低迷させる旅コミ誌『野宿野郎』の編集長(仮)。野宿が好きです。だらだらしながらマンガを読むのも好きです。