『このマンガがすごい！』編集部が主催する、「すごい！マンガ」を見つけるためのマンガ新人賞「『このマンガがすごい！』大賞」！　
第7回となった今回は、今までにないレベルの高い作品の応募が寄せられ、最終選考では、審査員および編集部スタッフも例年以上に議論を重ねることとなりました。
最終選考に残った4作品のなかから、本年度の受賞作品が決定！　この場をもって、発表させていただきます。

最優秀賞

歩『ECHOES』
（※応募時タイトル「ECHOES－エコーズ－」）

第7回「『このマンガがすごい！』大賞」は、歩氏の応募作品「ECHOES－エコーズ－」が最優秀賞を受賞。
受賞作は『ECHOES』と改題のうえ、加筆修正・再構成して単行本として発売いたします。

＜STORY＞

新緑高校1年女子バスケットボール部に所属する五十嵐青(いがらし・せい)。青は、卓越したバスケセンスを持つ孤高の少女・飛鳥（あすか）のことが気になっていた――。
バスケにかける情熱、そして思春期の少女たちの複雑な感情が交差していき……。バスケ×トランスジェンダーが生み出す、青春ストーリー。

作品講評

「物心ついた3歳ごろにはもう、自分の「性」について、まわりの女の子たちと自分は何か違うと気づいていた――」。そんな本作の著者「歩」自身の言葉にあるとおり、本作はかつて女子高校生としてバスケ部で活動した、現在“男性”である著者自身の「性の違和感」をテーマのひとつとした作品である。
でもじつは、それはテーマの「ひとつ」にすぎない。
圧倒的な画力、作品のテンポ、読者を強烈に惹きつける表情の力によって、おそらく想像していたのとは、まったく違う読後感を抱かれると思う。
むしろ、「スポーツに打ち込むっていいよね！」といった、スポーツマンガとしての爽快感を感じていただけるのではないか。そのうえで、軽快な著者の「性」への目線に、いつのまにかそっと共感している。そんなマンガなのだ。
「『このマンガがすごい！』に選ばれるような作品を世に送り出したい」としてはじめたこの賞が、第7回にして、ついにこの作品を送り出せたことは、本当に光栄なことである。

＜「『このマンガがすごい！』大賞」審査員より＞

臨場感あふれる画面構成も秀逸で、ひとつのパスの意味の重さ、ピースがカチリとハマる瞬間のカタルシスを存分に味あわせてくれる。

＜「『このマンガがすごい！』大賞」選考スタッフ・粟生こずえより＞

最終選考通過作品

今回、一次選考を通過した9作品のなかから、歩氏による応募作のほか、下記の3作品が最終選考まで残りました。

• 花島賜依『スペル・マスターズ』

講評：タイトルの仕掛け、コマ割り、ギャグセンス、パロディなど、非常に優れた才能を感じた。

• クリスティーヌ中島『モノリス』

講評：画力は発展途上であるものの、AIと人間を題材にした巧みなストーリー構成に光るものがある。

• 林良時『まかいたいしコココちゃん』

講評：かわいらしいキャラクターと、よく練られたファンタジー世界、画力の高さなど、総合的に作品の完成が高かった。

編集部にて議論を重ねた結果、上記3作品は惜しくも選外となりました。

第7回「『このマンガがすごい！』大賞」総評

まずは、第7回「『このマンガがすごい！』大賞」応募者のみなさまに、心よりお礼を申し上げます。

本年度は、近未来SF、ラブストーリー、冒険ファンタジー、シュール系ギャグなど、様々なジャンルの応募作が寄せられました。また、例年以上に完成度の高い作品の応募が多かったのも、印象的です。
とくに最終選考まで残った4作品は、「マンガ」という表現方法のなかで、各々の世界観をうまく伝えられていると感じました。
そのなかでも、特に画力の高さと卓越したストーリー構想、読者を引きつける魅力が大きかった作品が、今回「最優秀賞」を受賞した、歩氏の作品「ECHOES－エコーズ－」でした。

最優秀賞を受賞した「ECHOES－エコーズ－」は、応募時から大幅な加筆・修正、および内容の再構成を加えたうえで、2016年12月10日（土）に、単行本『ECHOES』として刊行します。

現在絶賛、予約受付中です！

また、「このマンガがすごい！WEB」上では、『ECHOES』の作品紹介や、著者である歩氏への受賞記念インタビュー記事をアップいたします。さらに、作品本編の一部を「試し読み」として公開もする予定です。

なお、現在第8回『このマンガがすごい！』大賞の原稿を絶賛募集中です。マンガ界の未来を担うみなさまからのご応募を、心よりお待ちしております。

＜『このマンガがすごい！』編集部＞