『あいまいみー』第5巻
ちょぼらうにょぽみ 竹書房 \819+税
(2014年9月5日発売)
今、日本で歯止めの効かない4コマ漫画家を選べ、と言われたら間違いなくちょぼらうにょぽみが3本の指に入るだろう。
たとえばこの作品でも、意味もなく作者本人が登場してしゃべくることが多々ある。その内容が集英社の新年会の内容だったりする。おい、この本出してるの竹書房だから!
あるいはマンガ内で広告を募集したところ、東映アニメーションから本当に依頼がきて、実際に宣伝する始末。やりたい放題です。
本作は、漫研部に所属している、わりと常識人で漫画家志望の愛ちゃん、エキセントリックで狂気を抱えた麻衣ちゃん、とっても元気で気が強く狂気を抱えたミイちゃん、気持ち悪い行動が多く狂気を抱えたぽのか先輩を描いた、女の子コメディ……のようなカタチをした、まったく別の何かだ。
そもそも部活動をしているシーンはほとんどない。物語性は巻が進むごとに消滅。まったく関係ない、ドジョウがペッティングをするだけの4コマが描かれたりする。
言葉遊びと、脈絡のないネタの組み合わせで、思考を強制停止させてくることに長けている本作。「起承転結」のルールは、この作品には当てはまらない。
お弁当がわりにウーパールーパーを舐めるなど、読者の連想を意図的に破壊する「ちょぼらうにょぽみリズム」が計算されており、ゆえに何の単語が飛び出してくるかは全く予測不能。この「理解に困る感覚」を楽しむ作品だ。
第2巻で、「FXで有り金全部溶かす人の顔が見だいー」と麻衣が言ったところ、ぽのか先輩が実際に溶かして登場したことがある。
これを受けて、DMMFX証券がコラボをするという、『あいまいみー』にしか許されない出来事が起きた。通常であればマイナスイメージしかわかない。しかし、そういう理不尽を笑って楽しめる人には、この作品は極上のギャグになる。
吾妻ひでお作品の不条理が鬱の不条理だとしたら、『あいまいみー』の不条理は躁の不条理だ。
第5巻に入って、勢いは加速中。考えることを放棄させられるドラッグ的なマンガ。疲れた時によく脳に効く。
最新のネット事情や萌え社会を破壊するパロディも多いため、人によっては現代カウンターカルチャー性を見いだせるかもしれません。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」