『酒のほそ道 ~四季彩総天然色~』
ラズウェル細木 日本文芸社 \815+税
(2014年9月18日発売)
呑んべえサラリーマン・岩間宗達がお酒とともに過ごす毎日を描いた、ロングセラー人気マンガのカラー回だけを収録した特別版。
岩間が酒場で、あるいは自宅や野外で、同僚や友人らと繰り広げる酒宴エピソードを各季節ごと、6~7話ずつ収録されている。
『酒のほそ道』については、いまさら説明する必要もないだろう。
四季折々のゴキゲンな酒の楽しみ方、酒を呼ぶ旬の肴など、ああだこうだと語りながらも、結局はマー、楽しく酔えればナンでもいっか~という「タダの呑んべえ」的スタンスは、連載開始当初から現在までまったくブレがなく、ネタ合戦と化している昨今のうんちく系グルメマンガとは一線を画す清々しさ。
そのマンネリズムがまた、なじみの店で呑んでいるようでホッと癒されるのだ。
酩酊している時の記憶のなかの風景は、決まって古い写真のように淡くファンタジックな色調だ。
本書の“総天然色”とは、まさにソレ。セピアがかった淡い世界でホタルイカの紫や菜の花の緑が鮮やかに目に飛び込んできて、たまらず昼間から晩酌開始……なんてことも!?
見開きでズラリ並んだ、季節の節句入りの扉絵も圧巻!
コレを眺めながらコレにちなんだ酒と肴で呑めたらサイコーだなあ……と、呑んべえ心を刺激してやまない一冊。晩酌のお供にぜひ!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69