『少年Y』第6巻
ハジメ(作)とうじたつや(画) 秋田書店 \419+税
(2015年1月8日発売)
いわゆる「デスゲーム」作品。
殺しあいではなく、「選ぶ」のがこのマンガのテーマだ。チョチョイのチョイス。
転校生の栗原ユズルが学校に来た初日、クラスメイト全員が死んでいた。そのなかからひとりだけ生き返らせる人間を選べ、と神様見習いの少女・ワビコに言われる。
たまたま選んだのが山崎匡。2人はワビコによる理不尽な「命の選択」ゲームに挑むことになる。
命の選択を続けるうちに、復活させた人のなかからデスゲームをしかける人物が現れ始める。相手は「グッズ」という特殊なアイテムを使って、死のゲームに挑んでくる。どうも裏には黒幕がいるようだが……。
出てくるギミックのおもしろさが魅力の作品だ。
「怖いもの」を集めたペイズリー柄のピエロのモンスターや、ほかの人と痛覚を入れかえて怪我をしつづける痛覚入れかえジェンガ、極限までお腹が空いてしまって食べても食べても飢餓状態になるガムなどなど。
日常における「これってなんだろう?」「こうしたらどうなるのだろう?」という疑問を、サスペンスに落とし込んだ作品になっている。
序盤、「なぜアリは胴体からちぎれるんだろう」という残酷な妄想に浸るシーンがある。
これは6巻でバトルさせることになる「角獣(コーン)」も同様。ポケモンのように、3日間だけ育て戦わせる小さい生き物。だが「3日間」を過ぎたら、はたしてどうなるのか? 実際どうなるのかは、読んでみてほしい。
原作の“ハジメ”は、『サナギさん』『オンノジ』でおなじみの施川ユウキ。
描かれている内容は真逆のように見えるが、世のなかに対する疑問と観察から生まれた物語という点では、根っこは同じなのだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」