『魔法少女・オブ・ジ・エンド』第7巻
佐藤健太郎 秋田書店 \419+税
(2014年12月8日発売)
校門に現れたゴスロリ少女が教師の頭を爆発させ、教室は血と脳漿が飛び散る地獄に。空に開いた大穴から無数の魔法少女が湧き出て、魔法に殺害された者も黒いドレスをまとって蘇り生存者を惨殺する――そんなゾンビもの×ファンタジーというツカミが強烈だった本作。
獰猛な顔で火炎を吐く犬をけしかけるフレイムドッグ・M(マジカル)や、人体に寄生してムキムキの筋肉で人間を叩き潰すパラサイト・Mなど、暴力的にキャラが立った魔法少女の大進撃は怪獣映画の味わいがあった。
いきなり首相がゾンビにされて、航空自衛隊の戦闘機さえも叩き落とされる、知恵と勇気だけではどうにもならない絶望を狂気まで振り絞って覆す。
かと思ったら、再生系の魔法少女によって、さらにパワーアップした怪物が襲いかかるどんでん返しの連続も、前巻でいったんピリオド。そしてリセット!
「魔法少女が出現しない世界」のパラレルワールドに飛ばされて、仕切りなおした第7巻では、序盤のサバイバルホラーらしさが薄れたことで賛否両論あり。
でも、「次はどっちに行くか予想がつかない」と「緻密かつわかりやすく伏線がばらまかれている」が絶妙に融け合っているのが、本作の魅力。
昨日の敵は今日の友ということで、味方になった魔法少女達とのまさかの「合体」や、性欲まる出しのくせに童貞(番外編で判明)の変態警官・芥倫太郎の貞操のゆくえが気になる!
<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。