『彼岸島 最後の47日間』第15巻
松本光司 講談社 \562+税
(2014年7月4日発売)
みんな、丸太は持ったな!! 行くぞォ!!
丸太が破壊するのは吸血鬼の頭部……というよりも、「マンガの常識」だ。
「日本に吸血鬼ウィルスを持った蚊を送り込もうとする魔人・雅を倒すこと」がストーリーの目的という思い込みをぶっ壊す一撃である!
前巻で雅に出会えたと思ったら穴に突き落とされて、巨大な邪鬼・椿とおいかけっこするハメになった主人公の明たち。
この展開、何度目だよ!
そうツッコむ『彼岸島』ファンの目は愉悦に輝いてる。『君の名は』風のすれ違いラブストーリーでも、恋人同士が出会ったら話はそこまで。終わらせることより続くことに楽しみがあるに決まってる。
「501ワクチンを雅に注射して首をはねる」という決着が繰り延べられるうち、不思議なグルーヴ感が生まれた。
師匠が穴から丸太をヌッとつき出すシュールな場面、豚汁で異常にテンションが上がる仲間たち、いつの間にか明の背中がホームになってたキュートな隊長(吸血鬼)……。
思い出があふれ出る、ちくしょう!
そんな『彼岸島』15巻の巻末に、衝撃の告知。
『最後の47日間』のうち3日間も明が寝込んだのも驚きだったが、「最終の第16巻」は見逃せない!
<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。