365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
9月15日は阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝した日。本日読むべきマンガは……。
『猛虎はん』
ほりのぶゆき 扶桑社 ¥952+税
2003年の9月15日は、阪神タイガースのファンにとっては忘れられない日に違いない。
この日は、阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝を決めた日なのである。
ちなみに1985年には日本シリーズを勝ち抜いて日本一にもなっているが、この年のリーグ優勝もなんと21年ぶり。
タイガースは、読売巨人軍と並ぶ歴史の古い球団で、この2球団の試合は「伝統の一戦」と呼ばれもする。それにしては優勝回数はずいぶんと差があるのだが……ファンの熱狂度でいえばタイガースは球界一では!?
どんなに優勝から遠のいていても、いや遠のくほどに応援に熱が入るのがタイガースファンなのである。
ほりのぶゆきといえば時代劇マンガでおなじみの著者だが、マニアックな阪神ファンとしても知られている。2009年に刊行された本作は、「月刊タイガース」の掲載作も含む、タイガースネタを中心とした野球ギャグ作品集だ。
2003年のペナントレースでは就任2年目の星野仙一監督のもと、7月8日にマジックが点灯するも以降は勢いが失速。阪神ファンたちが悶々としていた2003年7月末に発表された短編は、「自分が観戦している試合は負ける」と信じこんだ男が主人公。
また、リーグ優勝を決めたあとの10月に発表された作品でも阪神ファンの歓喜の姿はいっさい描かれず。「また20年近く待たされることになったら?」といった自虐的ギャグが展開されるのだ。
ハタから見れば滑稽なほどに愛しすぎて些末なことに一喜一憂……ファンの心理ってまさにこんな感じ!
1985年の優勝時、羽目をはずしたファンが道頓堀にカーネル・サンダースおじさんを投げこんだ事件、90年代のタイガース暗黒時代、2003年、2005年の優勝時のエピソードも。
「虎の章」、「恒の章」(なぜかナベツネこと渡邉恒雄が主人公)、「パの章」(パ・リーグのネタ)の3章から構成される作品集、プロ野球好きは必読だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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