話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』
『このマンガがすごい!comics スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』著者の見崎夕先生から、コメントをいただきました!
『このマンガがすごい! comics スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』
見崎夕(画) 友井羊(作) 宝島社 ¥640+税
(2017年11月10日発売)
東京のオフィス街で、ひっそりと早朝営業する「スープ屋しずく」。
シェフの麻野が、お客の抱える悩みを鮮やかに解決する、といういやし系のミステリー小説『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』シリーズ。本書は、その第1弾を『男らんメシ』の見崎夕がコミカライズしたもの。
「このマンガがすごい! WEB」での連載のうち4つのエピソードが、コミックスとして出版された。
原作『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』は、日本最古の歴史を誇るミステリーファンクラブ「SRの会」の年間ベストで第1位を獲得した『ボランティアバスで行こう!』等を生み出した実力派・友井羊の連作短編シリーズ。
原作小説はこれまでに『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ』の2作が刊行され、累計で34万部を売り上げている。そして11月には、第3弾『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー』も発売された。
物語は、早朝出勤したOLの奥谷理恵が、匂いに誘われて「しずく」を訪れるところから始まる。
「しずく」は、ランチとディナー以外にも、メニューはスープ一品となるが、朝6時半から2時間店を開いているのだ。仕込みをしながらの営業なので、特に宣伝はしていないという。
理恵は、職場でお気に入りのポーチを盗られ、憂鬱になっていたのだが「しずく」のジャガ芋とクレソンのポタージュで元気を取りもどす。
理恵は、フリーペーパー「イルミナ」の編集者である。出社すると、なんとポーチはデスクの上に戻ってきていた。そこで理恵は、ポーチがなくなった時のことを思いだす。
退社前に他部署の後輩に泣きつかれ、理恵はポーチをだれも使っていないデスクに置いた。最初に編集長の今野布美子が退勤し、そのあとに後輩の井野克夫が出た。ポーチを取りに戻ると後輩編集者の長谷部伊予と顔を合わせたが、その時点でポーチはなくなっていた。
井野は仕事に身が入っていない様子だし、伊予は、ポーチが消えた日から理恵にとげとげしくなっていた。消えたポーチの謎と、変わってしまった後輩たち。そんな理恵の悩みを麻野は、話を聞いただけで解き明かす。と、いうのが第1話の「嘘つきなボン・ファム」である。