『中卒労働者から始める高校生活』第3巻
佐々木ミノル 日本文芸社 \571+税
(2014年9月29日発売)
工場で働く18歳の片桐真実(かたぎりまこと)は、自分を中卒だと馬鹿にした周囲を見返すべく、通信制高校に入学。
そこはさまざまな事情を抱えた、まさに人種のるつぼだった。
劣等感に苛まれてきたため、なかなか人とスムーズにコミュニケーションがとれない真実にはハラハラしっぱなしだったが、不器用ながらにだんだん本音を素直に語れるようになってきて……ケンカばかりしていたお嬢様・逢澤莉央との仲も次第に近づいていく。
莉央の心を苦しめるある秘密を知り、彼女を救うために真実が行動を起こしてからの最新巻では、ついに恋が成就する!
とはいえ一気に進展とはいかない2人だが、胸きゅんシーンもいっぱい。ひとまずはめでたしめでたし!?
守るべき恋人ができ、これから真実がどのように変わっていくのか。「いつも見下されている」という想いを持って過ごしてきた彼の、世の中との対峙のしかたも変わっていくはずだ。
通信制高校という知られざる世界を舞台にリアルな青春を描く、痛々しくも鮮烈な注目作である。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」