『ぴんとこな』第1巻
嶋木あこ 小学館 \400+税
11月21日は銀座にある歌舞伎座の開業記念日。
1889(明治22)年、東京市京橋区木挽町に歌舞伎専用の劇場として開設されたのがはじまりだ。
「歌舞伎」とは、江戸時代に流行した派手な衣装や一風変わった物を好むような人を指した「かぶき者」の動きや装いを取り入れた踊りがもとになっている。歌舞伎役者は芸名を代々受け継いでいくものであり、実子が継ぐことが多いが、養子や実力のある高弟でも継ぐことはあるのだ。
歌舞伎を題材とした嶋木あこの『ぴんとこな』には、歌舞伎の名門で名前のある河村恭之助と、努力と実力、そして師匠の娘と関係を持つことでのし上がってきた澤村一弥という2人の役者が登場。
さらに歌舞伎好きの女子・千葉あやめをめぐった恋愛模様も描かれているので、歌舞伎に興味がなくともおもしろく読める内容になっている。
タイトルの「ぴんとこな」は、歌舞伎用語で男らしく芯のある二枚目を意味している。
この作品をきっかけに、歌舞伎の世界にハマってみるのもいいかもしれない。
<文・小林美姫>
ぴあを経てフリーで活動。『井上雄彦ぴあ』『ワンピースぴあ』『ポケモンぴあ』『プリキュアぴあ』『細田守ぴあ』(ぴあ)、『プリキュア10周年公式ブック』(メディアパル)など。
Twitter:@mikitty116