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2月19日は「あさま山荘事件」が起きた日 『レッド』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/02/19


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『レッド』第1巻
山本直樹 講談社 \952+税


43年前の今日(1972年2月19日)、長野県北佐久郡軽井沢町にある河合楽器所有の「軽井沢保養所浅間山荘」に連合赤軍のメンバーが侵入し、管理人の妻を人質にとって立てこもる事件が発生した。
世に言う「あさま山荘事件」である。
早期から警察、機動隊が包囲網を完成させながら、事件は長期化し、人質救出および犯人逮捕までにかかった時間は200時間以上。民放とNHKをあわせたテレビ視聴率は最高90%弱に達し、国民全員がかたずをのんで事件の行く末を見守った。
日本でもっとも有名な立てこもり事件であり、事件解決までに多くの被害者(死者3名、重軽傷者27名)を出している。

この「あさま山荘事件」に到るまでの、連合赤軍の内幕を描いたのが山本直樹『レッド』である。
作中では固有名詞に変名(例:連合赤軍は作中では「赤色連盟」と表記)を用いているが、基本的には事実に基づいており、ノンフィクションと言っていい作品となっている。
サブタイトルに「1969~1972」と記されているように、1969年の東大安田講堂事件から物語がスタートし、「あさま山荘事件」に到るまでの新左翼運動のさなかに起きた事件を描いていく。

連合赤軍や「あさま山荘事件」を題材とした映像作品は数多い。
映画『突入せよ!あさま山荘事件』や、テレビ番組『プロジェクトX ~挑戦者たち~』の「あさま山荘事件 衝撃の鉄球作戦」(いずれも2002年)などがとくに有名だが、本作『レッド』が従来作品のどれとも違うのは、「熱さ」ではなく「冷たさ」を描いている点だろう。
もともと山本直樹の作品には冷めた感じがあり、読者からの過剰な感情移入を拒むような、どこか突き放した感じがある。
それがシャープなタッチによるものなのか、ネームと構成力によるものなのかはさておくとして、いずれにせよその作風がドキュメンタリータッチの本作にはマッチしており、登場人物を過度に英雄視しないし、また矮小にもしない。淡々と描くからこそ、その異常性や滑稽さがあぶり出される。全共闘運動の熱気より、静かな狂気を映しだしているのだ。
単行本第7巻カバーの、山小屋で「インターナショナル」を歌うカットは、あまりにも印象的である。

作中、特定の登場人物には(1)~(15)まで丸カコミ数字が付されているが、これは史実における「死ぬ順番」だ。各話のラストには、登場人物が「死亡するまであと約400日」とか「死刑確定まであと約8200日」などとモノローグで表記され、悲劇的な末路が用意されていることを冷静に告げる。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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