オタクな旦那さんと非オタクで妊娠中の奥さん。2人は大学時代に同じサークルで、今はラブラブ新婚生活満喫中。……かと思いきや、妊娠してからセックスしてくれない旦那さんに、奥さんは不満がいっぱい……。あの手この手で誘おうと奮闘するが――
『げんしけん』でディープなオタクの世界を描いた木尾士目先生の最新作は、二次元へ逃避するオタク旦那と、エロかわいい嫁へのニヤニヤが止まらない新婚日常コメディ。「このマンガがすごい！2015」オンナ編13位にもランクインした本作は、連載が開始するや「あの作品の○○と○○にそっくり！」「○○と○○の、もしかしたらあったかもしれないあの“そんな未来”なんじゃ!?」と木尾ファンを狂喜乱舞させた。ファンがもっとも知りたい真相について木尾先生からついに真実が語られる!?

木尾士目

「きお しもく」と読む。本名は非公開。大学在学中の1994年、『点の領域』がアフタヌーン四季賞を受賞し、同作が「月刊アフタヌーン」（講談社）に掲載されデビュー。代表作『げんしけん』はアニメ化もされるなど大ヒットした。現在、「楽園」（白泉社）にて『Spotted Flower』を連載中。

オタク男と妊婦のガチな“家庭内恋愛”を赤裸々に描く

――『Spotted Flower』という作品の企画はどのようにスタートしたのですか？

木尾　編集長から「楽園」（白泉社）【注1】のWEB増刊に短編の依頼を受けたのが始まりです。それがいつのまにやら連載することになって……。最初に「恋愛モノ」という縛りだけはいただいていたんです。でも恋愛モノはもう正直お腹いっぱい……というか、泥沼化しがちなのがわかっていましたので、やや困りつつ……まあ、オタクを絡めるしかないか、と。

1巻あとがきにも作品誕生の経緯が。ん!? 旦那さんの黒髪に奥さんの茶髪……これってやっぱり……アレですよね!!??

――それで「オタクの結婚生活」という設定が生まれたんですね。

木尾　大学生ネタは散々やってるし、ならもうちょい年上に設定しようと。そこに自分の持ちネタのなかから「妊婦」という要素を足しました。

――『ぢごぷり』[注2]はご自身の育児経験を参考に描かれたそうですが、さらにさかのぼって「妊婦」時代から描こうと思われたのはなぜですか？

オタクと妊婦さんの恋愛ストーリーってありそうでなかった！

木尾　育児ネタはもうやりましたし、恋愛にフォーカスをしぼるならなるべく子どもは出さないほうがいいかな、と。

――初めての女性マンガ誌連載で、意識したことはありましたか？

木尾　初期の「楽園」は女性作家がほとんどでしたし、非常に画面のきれいな方が多かったので、私もできるだけ清潔感のある絵作りを心がけました。でも今は男性作家も増え、だいぶ混沌としてきましたね。じつはどうやら、最初から女性マンガ誌ではなかったようですが（笑）。

――現代ではオタクや腐女子が増えて、結婚相手にカミングアウトするか悩んだあげく、隠し続けている人も多いと聞きます。そのあたり、『Spotted Flower』の場合は理解ある奥さんといえるのかも！？

オタクな旦那さまに奥さんが贈ったクリスマスプレゼントがこちら！ うれしいけど同人誌には好み…あるしなぁ。

木尾　私も、家内には基本的にはオタクを隠さない方向できましたが……。

――「子どもが生まれた時、目に触れたらまずそうなものをどうするか」も大きな問題ですよね？

オタクあるあるすぎる（笑）。とりあえず立ち入り禁止にするしかない。

木尾　子どもにはさすがにエロいものは見せないようにしています……。うちの子は小学3年生目前で、そろそろ「エッチ」的な概念を理解し始めたようです。自分のマンガは「エッチなことが描いてあるからあまり見るな」と言ってます。