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『女子高生 Girls-Live』第6巻 大島永遠 【日刊マンガガイド】

2015/07/02


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『女子高生 Girls-Live』第6巻
大島永遠 双葉社 \600+税
(2015年6月10日発売)


2001年から連載されていた『女子高生 Girls-High』のスピンオフとして、舞台であった咲女の5年後の様子を描いたのがこの作品。

『Girls-High』が、ルーズソックスなコギャル全盛期の女子高生事情だったのに対し、2010年からスタートした『Girls-Live』は、バブルの波にものまれていない、「新世紀」の女子高生が描かれていた。
そのため、外部生と内部生の差など「女子校あるある」ネタだけに左右されていない。普遍的な人間関係の話題が中心だ。

特に強調されているのは、外部生の少女3人と、カナカナと呼ばれる少女の友情の物語だろう。
中心になっているのは、ハイテンションな田中花子、背が小さく胸が大きい渡辺真理子、アウトロー気取りの厨二病・山田亜季子の3人の外部生。
彼女らが、「トンチキ軍団」を結成し、女子高を荒らしまくる!……という展開は『Girls-High』と基本変わらない。

『Girls-Live』は、田中花子のカリスマが大きく光る作品になっている。
普段からふんどしを締め、理不尽を要求し続ける、迷惑千万な生徒。同時に、みんながいやがることを率先して行う。みんなが困っている時に積極的に動く。なんでも楽しいものに変えていく。
田中花子は、いつしかみなに愛される存在になっていく。

対になるのが、「カナカナ」こと田中カナ。品行方正にして質実剛健、お嬢様体質で義を重んじるまじめな子。カナにしてみたら水と油のようなこの花子に対して、あるきっかけで少しずつ心を開くようになる。
そこからは「まじめで信頼されているカナ」と「元気で日々を楽しんでいる花子」の2人の友情物語へと変わっていった。

最終巻の6巻は、みんなが卒業。その前後のまさかの出来事も含め、改めて花子のカリスマ性を感じさせる。
個人的には心機一転した、あるあるネタ中心の『Girls-High』と、女の子の友情メインの『Girls-Live』は並行して連載してほしかったという願いが強くある。
しかし高校生は必ず卒業するもの。円満なラストに、手を振ってサヨナラをしたい。

ん? じゃあ『Girls-High』はなぜ卒業しないのか?
たぶんあの子たちは、「女子高生」という言葉の権化だから。10年世代も超えてきたしね。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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