『アトランティド』第2巻
山地ひでのり 小学館 \429+税
(2015年6月18日発売)
スチームパンクアクション『アトランティド』は、『微笑みの奇術師』で第67回小学館新人コミック大賞少年部門の大賞を受賞した山地ひでのりの初連載作品。
スピード感あるバトルはもちろんのこと、ありがちなスチームメカに留まらない、超古代文明の遺物をイメージさせるメカデザインにワクワクさせられる。
舞台は19世紀イギリス。スラム街の悪ガキ集団の一員である少年・サリーは、ある日、スリ取った袋のなかから黒い指輪を見つけた。指にはめてみると、なんとそこから奇妙な機械が出現……!? この指輪をめぐって、女王直属部隊と人身売買組織の戦いに巻きこまれていく。
最新2巻では、敵、味方問わず新メンバーが多数参戦して、能力バトルはますますにぎやかに。
主人公・サリーの秘密も徐々に明かされ始め、物語も深まってきた。
現在のところ、独自のスチームパンク風世界と、バトルを含めたドラマ部分が、完全に融合しているとまではいいきれない。
両者の歯車がもう一段階かみ合ってくれば、作品の勢いは一気に加速するはずだ。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」でファンタジー評を連載中。
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