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『ニンジャスレイヤー殺』第2巻 ブラッドレー・ボンド、フィリップ・N・モーゼズ(作) 関根光太郎(画)本兌有/杉ライカ(翻訳・監修) わらいなく/関根光太郎(キャラクターデザイン)【日刊マンガガイド】

2015/05/11


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『ニンジャスレイヤー殺(キルズ)』第2巻
ブラッドレー・ボンド、フィリップ・N・モーゼズ(作) 関根光太郎(画)
本兌有/杉ライカ(翻訳・監修) わらいなく/関根光太郎(キャラクターデザイン)
講談社 \600+税
(2015年4月16日発売)


近未来、サイバネ技術が発達して大衆がコンピュータネットワークに耽溺しているハイテク鎖国国家・日本で、古代のニンジャの魂に憑依された特殊能力者たちが死闘を繰り広げるサイバーパンク群像活劇。それが『ニンジャスレイヤー』だ。

もとは海外小説のTwitter上翻訳連載というふれこみで話題を呼んだものだが、いまや小説以外にも場を広げている。最近もアニメ版がスタートし、注目を集めたばかりだ。
「妻子を悪のニンジャ組織に殺された男が“ニンジャを殺すニンジャ”と化して復讐に生きる」と、中心の筋が極めてシンプルなぶん、かえって応用的に幅広い展開が可能なのだろう。
マンガ版も複数あり、各々異なる作家が異なるアプローチで“忍殺”世界を切り出している。

『ニンジャスレイヤー殺(キルズ)』も、そのコミカライズのひとつ。月刊少年シリウスが「ニコニコ静画」で展開しているWEBコミック「水曜日のシリウス」で連載され、単行本第2巻が最近発売された。
主人公・フジキドがニンジャスレイヤーになって間もない時期を描くエピソードを2編収録している。

ライブハウスを襲撃したニンジャをニンジャスレイヤーがなぶり殺し、その場に居合わせた少年少女をついでに殺そうとするシーンの緊迫感は原作ファン納得の図像化。フジキドがぎりぎり保っている人間精神を凶暴な魂「ナラク」がむしばんで完全な殺戮マシンに変えるかどうかという内面のかけひきが原作の要点なのをよくつかんでいる。
この時点ではナラク優勢で、ニンジャスレイヤーは一般人を巻き添えに死なせても高笑いを放つ外道に陥っており、まだダークヒーローでさえない、一個のモンスターの段階だ。

本作はそれを忠実になぞりつつ、そのうえで独自の脚色がほどこしてある。
ニンジャの戦いに巻きこまれて危うい少女を助けるため、勇気をふるい殴りかかってくる少年。これにフジキドが自分を重ねることでナラクの暴走に一瞬の歯止めをかける。
ここは原作(twitter連載初出時)には少年側の視点だけだった部分で、その少年を見るフジキドの視点を重ねることで邪悪なモンスターの奥底にダークヒーローの予兆をかもし出している。こうした多奏性をさっと伝えるところはマンガの表現的な強みだろう。

コミカライズされた甲斐があるというものだ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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