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『手裏剣とプリーツ』第1巻 樋野まつり 【日刊マンガガイド】

2015/02/16


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『手裏剣とプリーツ』第1巻
樋野まつり 白泉社 \429+税
(2015年2月5日発売)


『ヴァンパイア騎士』で知られる樋野まつりの新作『手裏剣とプリーツ』。
イギリスに渡って暗殺や護衛を請け負う組織として発達した忍者集団の少女を主人公に、守る者と守られる者、主とそれに仕える者、男と女、という二項対立が織りなす関係性が描かれる。

イギリスで忍者の末裔として育てられた少女「美影」は、彼女が護衛を任されていた実業家のロッド氏に淡い好意を寄せていた。またロッド氏も、美影を養子に迎え危険な任務から解放しようと申し出る。
しかし、世界の食糧事情に革命をもたらす技術に関連してロッド氏は暗殺されてしまう。

失意の美影は日本に渡り普通の学生として生きようとする。
そこで新たな事件にまきこまれた美影は……? というストーリー。

忍者や暗殺、世界の食糧事情といった、描きようによってはそうとう重くなってしまうモチーフがごくあっさり描かれているのはご愛嬌。
強いけどズレている少女を主人公にしたかったということで、それは「イギリスで生き延びた忍者の優秀な末裔」という設定の時点で達成されている。

トンデモに振りきるわけでも、シリアスに掘り下げるでもなく、設定の意外さと絵のかわいらしさを楽しむ作品だろう。
ロッド氏が命を懸けて守ろうとした技術は実用化されるのか、美影は忍者の呪縛から解き放たれるのか。続刊の展開が気になる。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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Twitter:@n11books

単行本情報

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