日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『Jumping』
『Jumping』 第2巻
筒井旭 集英社 ¥460+税
(2016年8月25日発売)
幼い頃から人づきあいが苦手な蘭。唯一の友だちは、高校時代に知りあった、帰国子女でめっちゃ明るい越後屋小百合。
しかし、彼女が転校し、大学受験に失敗したあとは、ふたたび人生は真っ暗に……。
浪人をいいことに引きこもりまっしぐらだった蘭のもとを、小百合が訪れる。
蘭の様子を見かねた小百合の説得で、蘭は小百合が大学生活を送る青森でともに暮らす決心をした――ひとまず、“下を向かずに暮らす”ため、視野を広げるために!
そして、蘭は青森の地で運命の出会いを果たす。
それは小百合が所属する馬術クラブを見学に行った日のこと。
美しく馬を駆る男子の姿に魅せられた蘭の心が大きく動くのだ!
そして、蘭にはどうやら秘めた才能が。
ある時から心を閉ざし、だれのことも乗せなくなった馬・津軽が、蘭を乗せたことに馬術部員たちは驚くばかり。
第2巻ではその理由があきらかに。
また、馬術部員になるために大学進学を決意した蘭の奮闘ぶりが描かれる。
人間ドラマとしての読みごたえはもちろん、馬が力強く駆ける姿も、乗馬初心者が体験する基本の歩法もリアルに描きこまれ、読み進めるうちに馬がいとおしくなってくる。
そのたくましさ、しなやかさ、生命力にひっこみ思案だったヒロインの気持ちが動かされるのもわかるというもの。すみずみまで作者の熱意が行き渡る野心作といえるだろう。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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