『プリキュアまんがえほん プリキュアオールスターズ
Go! プリンセスプリキュア』
東堂いづみ(作) にあ・れい&ひろ・かねこ(画) 講談社 \463+税
本日は、国民の祝日「海の日」。
四方を海に囲まれたわが国で、年ごとの海の恵みに感謝する日である。
その起源をたどると、まず、1876(明治9)年に灯台巡視船で東北・北海道の巡幸航海をおこなった明治天皇が横浜へ帰港した7月20日を記念する「海の記念日」が先にあった(1941年~1995年)。 そして1996年の祝日法改正時に、日取りを7月の第3月曜日と定め、海そのものを主眼とする祝日に変えたのが現在の「海の日」という次第だ。
さて、広く大きく懐の深い「海」をモチーフにしたフィクションキャラクターは古今多数いるが、いま大人気放映中のキッズアニメ『Go! プリンセスプリキュア』にも、そのものズバリな人物が登場している。
伝説の戦士プリキュアになった3人の少女が「つよく・やさしく・美しく」を極めた存在“グランプリンセス”を目指して奮闘する本作で、「やさしく」を担うキュアマーメイドである。
マーメイドに変身する少女・海藤みなみの誕生日はほかならぬ7月20日に設定されている。
今年はまさに海の日だ。イルカを幼い頃からの友とし、海に棲む生物を慈しむエピソードが描かれたみなみさんにふさわしい。
講談社「プリキュアまんがえほん」シリーズの新作『プリキュアまんがえほん プリキュアオールスターズ Go! プリンセスプリキュア』では、そのキュアマーメイドを含むプリンセスプリキュアをマンガの形で読むことができる。
「まんがえほん」と銘打つだけあって、コマを割って話を進めるマンガの形式でありつつ、ひとつの絵にキャラクターや情報を敷きつめてじっくり眺めさせる絵本の形式も兼ね備えた画面構成におもしろみがある。
この本には「たのしい幼稚園」本誌と系列誌に載った歴代プリキュア共演の短編が13本収録されており、冒頭の2本でプリンセスプリキュアがメインをつとめている。
1本はアニメ第1話の再現、もう1本はプリキュアたちがイチゴ狩りに出かけるオリジナルエピソードである。
3頭身にディフォルメされたプリキュアたちが生き生きと駆けまわる図はなんともあどけない幼女的なかわいらしさでたまらないのだが、そのなかでも清楚な年上お嬢様キャラがきちんと残っているみなみさん(キュアマーメイド)の造形に注目してもらいたい。
プリンセス組をもっと量的にがっつり読みたい、と思った方は、「なかよし」に連載されている『Go! プリンセスプリキュア』単体のコミカライズが8月に単行本発売予定なので、そちらをいっしょに読んでいただくとよいだろう。
<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7