『恋について話そうか』第1巻
藤原よしこ 小学館 ¥429+税
(2015年7月10日発売)
彼氏とラブラブの親友を見ていいなぁと思ったり、合コンに参加してみたりはするけれど、ほかにも夢中なことはあって、何がなんでも彼氏が欲しいってわけじゃない……こういう主人公の普通さこそ、藤原よしこ作品が共感を呼ぶ理由では。
昴は教育学部の美術科に籍を置く大学1年生。
素直で、ちょっとドジだけど一生懸命な女の子だ。だれにも好かれそうなのに、合コンでは盛りあげ役に回ってしまうお人好しなところがご縁に恵まれないゆえんかも。
恋には奥手な昴だけど、彫塑(ちょうそ)の課題に取り組みながらぼんやりと憧れているのは、想い合う人が2人でいる立ち姿の美しさ。
自分にもそんなふうに寄り添える相手がいたら……と、ときおり思いふけるのだ。
さて、そんな昴は念願のひとり暮らしを始めるのだが、なんとアパートのお隣さんは同じ大学のイケメン君!?
何かと昴をからかってばかりのお隣さん=桐谷瑠以はモテモテのチャラそうなヤツ。絶対に関わりたくないと思いつつ、しだいに彼にひかれていく昴。
思いっきり純な恋愛初心者のホンネがいっぱいの、青春恋愛物語の幕開けだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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