日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは『怪人ようちえん monster's kindergarten』
『怪人ようちえん monster's kindergarten』第1巻
新貝田鉄也郎 集英社 ¥600+税
(2015年8月19日発売)
コウモリエンジ、小森こえは改造人間である。
彼を改造したヘイトロンは、悪の秘密結社である。
と、『仮面ライダー』ばりの展開から始まるマンガ。
しかし、悲壮感はゼロ。小森こえは「まあ なっちゃったもんはしょうがないかー」といったノリ。
12歳の彼女は、改造された少年少女が怪人のあり方を学ぶ、怪人のための幼稚園に通うことになった。園児服を着せられて。
作者は、「怪獣を描かせたら日本で2番目」と語る、新貝田鉄也郎。
クリエイター集団「いちごはうす」に所属し、特撮ヒーロー番組『光戦隊マスクマン』などの「スーパー戦隊」シリーズで、実際にキャラクターデザインを担当していた作家だ。
また、成人向けマンガでも活躍している。特にロリ方面での人気が高い。
そんな彼の、初の一般向けマンガ単行本。ちびっこと、怪人。得意分野を駆使している。
12歳のこえの華奢な身体。第二次性徴期独特の筋肉の付き方にとことんこだわって描かれている。
また怪人になりかけの子どもたちのデザインも秀逸。クモ、カマキリ、コウモリ、モグラ、ウミヘビ。動物をモチーフにした改造幼児たちは、怪人になりきっていない、未成熟さにあふれている。
人間の世界でひっそりと暮らす怪人たち。
とはいえ幼稚園は、いつも元気いっぱい。幼児たちは元気ハツラツ。
描かれている出来事は、やはり怪人だけあって、たまに派手。
心はかわいい幼児。小さい子に囲まれて、ちょっと年上の小森こえはニヤニヤ。
子どもたちのわがままなところ、やんちゃなところ、かわいいところを、怪人の生態でうまく表現している。
特にクモエンジのいとと、小森こえの関係は、優しいおねえちゃんとやんちゃな妹のよう。
問題は、誰が改造したのか、将来どうなるのか、そもそもどこから子どもを奪ってきたのか……。これけっこう重たい話じゃないの?
いや、考えるのはよそう。彼女たちは、かわいいのだから。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」