『宇宙怪人みずきちゃん』第2巻
たばよう 秋田書店 \600+税
(2015年3月6日発売)
少年・まるくんと同じアパートに住む女子高生のみずきちゃんは、じつは宇宙人。しかも、整然とした町の風景が個人的に気にくわないというだけの理由で地球をぶっつぶすことをもくろむ、マンガ史上類を見ない理不尽な侵略者なのである!!
これに象徴されるように、シンプルな設定ながらいちいち異形なのが本作最大の持ち味か。
みずきは地球を破壊するべく、ぶよ~んとした謎の生物「チンポコドン」を巨大に育てようとしている。
みずきに対抗する“防衛隊”も一応登場するのだが、その面々もふつうのSFマンガの常識から逸脱している。まるの父親である副隊長は地球を守る使命うんぬんよりも、偏執的に戦闘が大好きなだけ。ほかの隊員も「町の平和より自分の顔が大事」などと言いきる始末だし……。
おまけに、まるくんはみずきのことが大好きで、彼女の計画を止めようともしなければツッコミさえしない、異例の主人公なのだ。
そう……この作品に登場するキャラは全員、ともかく感情に素直すぎるのである。
それゆえにギャグなのかどうかも判然としないし、いや、そこを考えるのは野暮ってもの!?
一見かわいい絵柄だが、湿度&粘度の高いグロ表現も頻出。ページをめくるたびに何が飛び出すかわからない大胆さにワクワクさせられる。
注目の新人・たばようによる初の本格連載作は、全力で走りきったままに終幕。
この奇想の天才がこれからどんな作品を見せてくれるのか、楽しみでたまらない。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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