『※生徒会がおいしくいただきました。』
kashmir 秋田書店 \562+税
(2014年10月20日発売)
ページをめくった途端に、生徒会長の死体がカラーで載っているマンガって、そうそうないと思う。
作者がkashmirと聞いたら「あ、やっぱりね」という読者は多いかもしれない。
むしろ、kashmir作品のなかでは比較的説明がわかりやすく、かつ色濃く個性が出ているので、入門編としてオススメしたい。
地球征服のために乗り込んできた宇宙人。通常時は幼女の姿で、周囲を催眠状態にして生徒会長がいるかのように思い込ませている。
なぜ生徒会長になったのかというと、アニメで見た知識で、生徒会長は偉そうだったから、とのこと。
骨がないので、ちょっとした衝撃で豆腐のように砕け散る。知能は別個体として飛び出してしまったので、思考力も幼女レベル。
生徒会役員は、腐女子気味のメガネっ子、超怪力元気娘、エロ巨乳少女。属性詰め合わせすぎ。
各部活動の内容は珍妙、他校の生徒会長は頭のネジが飛んでいる、代理顧問の教師がかなりアレ。ひとコマずつやつぎばやに下ネタを繰り出すのも楽しいドタバタギャグマンガ。ところがなぜかちょっとだけ、全体的に寂寥感が漂う。
どうして宇宙人が地球支配にやってきたのか、なぜ支配を進めようとしないのか、なぜ幼女の姿なのか。もし夏が終わり、世界が本当に征服されたらどうするのだろう?
深い意味があるのかないのかは、読んで判断してみてほしい。
キャラクターは「これでいいのだ」という。だが「これでいいのか?」と余韻が残るのが、kashmir作品の味だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」