365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月5日は世界教師の日。本日読むべきマンガは……。
『謝男(シャーマン)』第1巻
板垣恵介 日本文芸社 ¥590+税
本日10月5日は、日々教鞭をとる教師に感謝をするため、1994年にユネスコが定めた「世界教師の日」だ。
「教師の日」はユネスコだけが定めているわけではなく、アメリカなら5月の第1火曜日、中華人民共和国では9月10日など、さまざまな国が独自に教師の日を定めており、ねぎらいの内容も様々。
そんななか、わが国日本には国を挙げての「教師の日」というものが存在しない。
それも寂しい話だということで、今回は数ある教師マンガのなかでも異彩を放つ『謝男』を紹介させていただく。
作画担当作家・RINと企画・全面協力を務めていた板垣恵介が、互いの“土下座性”の違いから元祖土下座マンガ・『どげせん』の連載を強制終了させたことを覚えている読者も多いかと思う。
その後、板垣みずから筆をとり新たな土下座マンガとして生み出されたのが本作『謝男』だ。その土下座のスケールは、第1話からしてすでに段違い。
物語冒頭、主人公の土下座教師・拝一穴(おがみ・いっけつ)が全校集会で行った本作初の土下座では、100キロ圏内にいるカラスを集結させるほどの居心地のよさを発生させ、さらにその後、国旗に向かって土下座を行うと、それに誘発されて全校生徒まで土下座してしまう怪現象まで巻き起こるなど、初っ端からインフレ化した土下座パワーに圧倒されることまちがいなしだ。
だが、そんなすさまじい土下座を放つ拝一穴の行動も、すべては生徒をよき道へと導くために行われている。拝のくりだす様々な土下座を、最初は笑って読んでいた読者も、いつのまにかグッとさせられること間違いなし。
土下座を駆使する21世紀の教師像として、今日を機に本作と、RINが描く『どげせんR』をぜひぜひ目に焼きつけていただきたい。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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