365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月15日は広島カープが初めて優勝した日。本日読むべきマンガは……。
『講談社漫画文庫 新装版 野球狂の詩 水原勇気編』第1巻
水島新司 講談社 ¥943+税
1975(昭和50)年10月15日、広島カープは後楽園球場での巨人戦に勝利し、球団創設から26年目にして初のリーグ優勝を飾った。
今日は「カープ初優勝の日」である。
実在のプロ野球球団や選手が登場するマンガ作品が「広島初優勝」をどのように作中に反映させているのかを見ると、意外とその扱いは大きくない。
たとえば水島新司『あぶさん』の場合、1975年のシーズン終了後に主人公・景浦安武(かげうら・やすたけ)は中百舌鳥で秋季練習に励む。そこにサチ子(のちの妻)が弁当を差し入れするのだが、その弁当を包んでいる新聞紙に「山田意地の完投!!」「見たか赤ヘル軍団」の文字が見え、わずかに阪急vs広島の日本シリーズの様子を伝えている程度(第8集収録「百舌と鷹」)。
パ・リーグの南海ホークスがメインであるため、これは仕方ない。
同じ水島新司作品でも、セ・リーグに在籍する架空球団「東京メッツ」を題材とするのが『野球狂の詩』だ。
1975年のシーズンオフ、東京メッツはドラフト会議で女性投手・水原勇気を1位指名。
この年のストーブリーグは、岩田鉄五郎が野球協約(医学上男子でない者は支配下選手にできない。現実世界では1991年に削除された)突破のためにアノ手コノ手を駆使するストーリーとなる。
やがてプロ野球選手として認められた水原は、武藤兵吉捕手と二人三脚でドリームボールの開発に着手するのだが、その武藤捕手は1976年シーズンの開幕直前に広島にトレードに出されてしまう。
そして迎えた1976年の開幕戦は、広島市民球場での広島カープ対東京メッツ。外木場、池谷、山本浩二、衣笠といった球界のレジェンドたちが躍動する。オールドファンには懐かしく、また若いファンには目新しい驚きを発見できるだろう。
広島初優勝時のメンバーのフレッシュな活躍を見るのであれば、本作『野球狂の詩』が最適だ。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama