日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『思い、思われ、ふり、ふられ』

『思い、思われ、ふり、ふられ』第1巻
咲坂伊緒 集英社 ￥400+税
（2015年10月13日発売）

大ヒット作『アオハライド』を今年完結させ、間髪入れずにスタートした咲坂伊緒の最新作はダブルヒロイン体制だ！

初恋の人は小さい頃に読んだ絵本の王子様、男子と話すのも苦手だけど、運命の相手が現れるのを待っている夢見がちな由奈。
かたやもうひとりの主人公・朱里（あかり）はピンとくる人がいれば自分から“恋に落ちにいく”という積極的な女子である。

朱里が由奈と同じマンションに越してきたことを機に、また入学した高校もクラスも同じとあって仲よくなった2人だが、恋の価値観はまったくの正反対。
朱里を軽すぎると思う由奈、由奈を奥手すぎると感じる朱里……読者はどちらに共感するだろう？　著者はこの2人をまったく同等のヒロインとして描いており、2人が折にふれてそれぞれの恋愛観を語る場面も読みどころだ。

もちろんキラキラの男子諸君も冒頭からスタンバイ！
由奈が唯一親しく話せる男子である、幼なじみの和臣はちょっと天然君。恋愛に興味はなさそうだが、フラットな視点の持ち主で……はからずも相手がドキッとするようなことをなにげなく口にすることも。
そして、由奈の憧れの絵本の中の王子様にどこか似ている理央。モテる上に「面食い」を公言しているけど、意外と嫌味のない彼のことが由奈は気になりはじめて……。

高校生活は幕を開けたばかり。
4人のパーソナリティーがぶつかりあう、10代の実践型恋愛論の行く先が楽しみだ。

＜文・粟生こずえ＞
雑食系編集者＆ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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