日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『はんなりギロリの頼子さん』
『はんなりギロリの頼子さん』第1巻
あさのゆきこ 徳間書店 ¥580+税
(2016年1月20日発売)
頼子さんがいる、たいしてもうかってもいなさそうなタバコ屋は、京都の路地の街角に、ひっそりたたずんでいる。
世界遺産まで徒歩2分でいけるとあって、タバコを買いにきたわけではなく、道を聞きにくる人が、ものっすごく多い。
頼子さんは、たいへん目つきが悪く、やってきた人をにらみつけては、きついもの言いで応対。
でも本当は彼女、京都の街のおもしろさを伝えたい。不器用で笑顔になれないだけ。
名づけるなら、「ギロデレ」。……デレてはいないか。「ギロ親切」?
京都名所案内マンガの体裁をとっているが、この作品が描いているのは京都人の持つ心意気と、観光客と住民の関係。日本独特の、人間同士の距離感だ。
頼子さんは、外国人案内のために外国語をこっそり勉強するほどの努力家。
名物店のおまんじゅうを買いにきた観光客が、早く売り切れすぎて手に入れないのを知った頼子さんは、わざわざこっそり買って観光客に渡す。いやいや、サービス過剰でしょう!
これをつっけんどんに、特に見返りも求めず、笑顔も見せずにやっちゃう頼子さん。
不器用かもしれないけど、みんな彼女が気になってしまう。
これはこれでいい距離感なんじゃないだろうか。魅力的です。
さて、一般的には京都人というと「笑顔できついことを言う」というステレオタイプなイメージがある。
はたしてこれはどこまで本当なのか?
京都のリアルな「あるある」、かいま見えます。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」