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『京都ゆうても端のほう』第3巻 二星天 【日刊マンガガイド】

2015/02/03


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『京都ゆうても端のほう』第3巻
二星天 秋田書店 \429+税
(2015年1月16日発売)


京都と言えば、美しい景色、寺院仏閣、そして怪異。
七木涼太は、京都府の行楽課に配属された新入社員。彼の仕事は、大正以降に実害が起きてしまったオカルトスポットを調査し、「紫道票帳(しどうひょうちょう)」、通称「紫ガイド」にまとめること。
お遊びのホラーガイドじゃない。いうなれば裏・京都地図。それ行楽課の仕事なの!?

登場するのは「宇治の橋姫」「黄泉戸喫(よもつへぐい)」「赦免地(しゃめんち)踊り」「鞍馬山烏天狗」など、実際に京都にゆかりのあるものばかり。
七木と先輩の新沼艦子の2人は、伝承に基づいた京都の各地を駆けまわる。

お祭りに出るか悩んでいたら異界をさまよっていた思春期の少年、痴情のもつれで藁人形を使い呪ってしまった女性の後悔。人間の悩みは時に、オカルト的事象につながることもある。
人や神の苦悩渦巻くなか、主人公の七木がいっさいスタンスを崩さないのがうまい。
彼自身は、直接人間関係や神関係のトラブルに関わっていない。人間の恋愛沙汰と神々の祟りが同時に起きても、七木が第三者として描かれているため、両者をフラットな目線で見ることができる。

3巻に登場する火之迦具土(ヒノカグツチ)は、人間との約束を守れなかったと苦悩する。人・神・妖怪との間でも情のもつれが生まれ、地域に問題が生じることもある。
それを解決して、土地を平穏にしていく。だからこそ、行楽課のお仕事なのだ。

3巻ラストでついに「京都ゆうても端のほう」に黒い鬼が現れるという、核心に迫りそうな話題が登場。
個人的にはこのオカルト解決譚をずーっと読んでいたいところだが、物語は今後大きく動きを見せ始めそうだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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