日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『星空のカラス』
『星空のカラス』第8巻
モリエサトシ 白泉社 ¥429+税
(2016年1月20日発売)
囲碁に情熱を注ぐ少女の青春ストーリーがいよいよ完結。
若き天才棋士・鷺坂の囲碁に魅せられ、同じ道を歩もうと決意した和歌。
名人であったが家庭をないがしろにした祖父への反発から囲碁を嫌う母との和解を乗りこえ、戦うことの厳しさを知り、さらには鷺坂への特別な想いに気づいてしまい……ここに至るまでさまざまな苦難と葛藤があった。
しかし、対局をとおして相手とつながることを喜びと感じる和歌の素直さこそ、彼女の力の源なのだ。
同世代のライバルたちと切磋琢磨しながら、“仲間”と高みを目指していく姿に胸がすく!
14歳にしてプロ試験の大勝負に挑む和歌。次なる対局の相手は、幼い頃からの囲碁友だちである葉月だ。
強敵である彼からは「試験で全勝したら僕のこと好きになって」と告白されており……。
師匠とあおぎ、今は恋い慕う相手でもある鷺坂に近づきたい。そして、彼にも自分を見てほしい。盤面という宇宙のなかで、もっと自由になりたい――和歌の心が熱くほとばしる最終巻は、彼女のエネルギーに引き寄せられるようにぐいぐいページをめくらせる。
囲碁好きの男性読者にもぜひ手に取ってほしい作品だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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