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【日刊マンガガイド】 『クロノ・モノクローム』第1巻 磯見仁月

2014/06/03


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クロノ・モノクローム 1
磯見仁月 小学館 ¥463
(2014年4月18日発売)  

チェスはヨーロッパの人々にとって単なるボードゲームではない。文化に深く根付いた遊戯であり、勝敗によって人生が変わることも、歴史が動くこともあった。そんなチェスを題材にしたのが本作。

作品を読む前は、「将棋マンガが当たっているから、とりあえずチェス狙いか……」と思ったが、そんな色眼鏡はすぐに壊れた。あのエドガー・アラン・ポーも魅了した18世紀製作の「チェス指し機械人形」の実話をもとに、チェスの歴史と象徴性が踏まえられ、背景世界にはしっかりと重みがある。それでいて、少年マンガらしいキャラクターの魅力や掛け合いの勢いなども失われていない。重さと軽さのリズムがいい。

自動チェス人形に入ることになった現代の中学生。18世紀ヨーロッパに飛ばされた彼の運命はどうなるのか。物語はまだ序盤。チェスでたとえると自陣を整備している段階だが、期待感は高まる。


<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「SFマガジン」(早川書房)でライトノベル評(ファンタジー)を連載中。
公式サイト「The Difference Engine」

単行本情報

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